やっぱり、波瑠さんのラブコメはいいな、屈託なく笑えて、どきどき心がときめいて、そして、思わずほろりと泣ける。

美々先生のうっとり見とれてしまう容貌の美しさ、恋する瞳の清らかさ、笑顔の可憐さ、それとまったく対照的にとってもキュートなおバカさ(笑)、キャラ崩壊すれすれの挙動ギャップ(笑)、目まぐるしく変わる表情と上へ下へ忙しい感情の浮き沈み、予想の斜め上を行くストーリー展開に振り回されながら、気がつくとすっかり美々先生の気持ちにのめり込んで一緒に泣き笑いしてる。

 

今回は冒頭から幸せいっぱいのイチャコラ劇場。

家で一人だと思って、ついつい嬉しくて始まってしまうキスの練習とか、濃厚接触の妄想シミュレーションとか、こっそり帰ってきた青林に一部始終を目撃されて、とてつもなく恥ずかしく、バツが悪い、いや、いつの間にか、これがほんとに美々先生らしさで、もう爆笑。

青林のぼけに対して、ズコーッって可愛いリアクションとか、クローゼットかくれんぼの仕返しとばかり、青林の顔のホクロとってふざけて、捨てちゃえーとか、もう何、この愛くるしさ。

青林が帰った後、いつも一人で見ていたインド飯ジャーニー、一緒に見たかったな、という寂しい眼差しに、しみじみ募る恋心を感じる。

この流れ、強がりのプライドで取り繕って孤独から目を背けていた美々先生の心の柔らかな変化が優しく描写されていて、微笑ましく、暖かな心地になる。

 

ここからストーリーが一転して、故郷の幼馴染・雪との結婚話で青林の叔母・典子が上京してくるエピソード。

美々先生にとっては、恋のライバル登場か、あるいは、親族の反対という障害か、ってかなりストレスフルな展開で、成就した二人の愛が試される、恋愛ドラマのあるあるパターンかと思いきや、ちょっと意味が違うみたい。

美々先生と青林の関係を叔母・典子は、縁談断るための茶番劇だと思い込んでるのが傑作。美々先生のスペックが高いのをフランス料理に譬えられちゃうとか、二人が不釣り合いだと言われたのを美々先生が否定しようとして、勉強ができた、ミスコンで優勝した、モデルにスカウトされた、と不本意(?)に次々墓穴を掘り、これは男性を料理に譬えたりして、思いあがってた自分への天罰とか、で、容姿や服装のエレガントさを指摘されて、無理にドレスダウン、部屋着で前髪ピン止めでじゃーん(笑)とか、もう美々先生が可笑しいやら、可哀そうやら、痛々しくて。

これ、美々先生がこれまでずっと味わってきた辛い思いなんじゃないか。見かけで勝手に美化され誤解されて、他人とうまくコミュニケーションができず、自分の本当の気持ちが伝えられない。劣等感や弱くて傷つきやすい自分を素直に見せることができずに、プライドだけで孤独な心を守ってきた。青林と結ばれて、やっと自然体の自分になれたと思ったのに。

典子から雪がいかに素朴で、優しく、他人に親切で誰からも好かれるか、自分と対照的な人柄をとくとく聞かされて、落ち込んで、自信を失ってしまう、その寂しい表情にぐっと切ない気持ちがこみ上げてくる。

でも、打ちひしがれて、折れそうな心を青林が救ってくれる。自分と違うから逢うたび好きになる、一日に一度は逢いたいと思う、自分には彼女以外考えられない、そのしっかりと心のこもった口調に、悲しみと辛さで赤みがかかっていた美々先生の目が、少しずつ嬉しさや安らぎの涙で潤ってくる。

うー、さっきまでのお笑いシーンが嘘のように、感動して、こっちまで目がうるうる。

 

波瑠さんのこういうお芝居はほんと絶品だよな。嘘っぽさやわざとらしさとか、まったく皆無。美々先生には心から幸せになってほしい、って感情移入が止まらない。

 

でも、二人の幸せな関係は、この先もどこかあぶなっかしく、やきもきさせられそう。

円形脱毛症になっちゃうとか、「おかむす」のみっちゃん以来って(そんなによくあるドラマの設定じゃないとは思うけど(笑))、草モチと檸檬の二人だけの世界から、美々先生と青林のリアルの世界へ進んでいくと、結婚やら生活やら、そりゃ、どうしても一筋縄ではいかなくなるよね。特に、長いこと対人関係に不器用で一定の距離をとってきた美々先生にとっては、この二人のディスタンスそのものが無意識のうちにストレスになりかねない。

少しでいいからSNSの関係に戻りたい、っていう気持ち、それを心の弱さとだけ言えない。

この先は、美々先生の心の成長の展開になるのか、それとも、ありのままで受け止めてもらえる物語になるのか、観ているこちらも気が気じゃない。

 

どうやらドラマも残すところあと2回。次回は、二人の関係を揺るがす大事件だとか、いやー、どうか美々先生をこれ以上いじめないで。愛の試練とかいらないから(笑)。