封切直後だから、もう随分前に見た映画だけど、感想を書かずにいるうちに、どこの映画館も休館になってしまって、映画レビューのネタもないので、ま、一応ちょっと書いておくか。

 

という感じで、感想を書く気もいまいち起こらず、うーん、ビジュアル面やアクション面ではド派手な映画なんだけど、どうも印象は希薄なんだよなあ。

世間の評判ほど悪い映画でもないと思うけど、何だかいろいろ残念な感じ。

 

そもそも、この作品を見たのも、女性ヒーロー映画が好き、という趣向の一貫なんだけど、例えば、先日観て非常に気に入ったチャーリーズ・エンジェルと比べると、かなり見劣りする。

ストーリーが陳腐で詰まらない、とかではない。(ま、確かにあまり面白くないけど(笑))

女性を主人公にする必然性があまり感じられないのが最大のネック。

 

これ、趣旨としては、女性の自立、男に依存しなくても一人で自由に生きていける、ってことなのかな、とは思うけど、ただ、それだけじゃ、あまり意味はない。

ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)という主人公に、男にはない、独自の魅力というものが欠けている。ファッションや嗜好だけが突出していて、行動スタイルが情緒的・感情的に過ぎるのが、かえって女性の戯画化のように思えてしまう。

もちろん、本作のヴィランであるローマン・シオニス/ブラックマスク(ユアン・マクレガー)のような男性キャラクターと比べれば、暴力性や残虐性も異なるし、何より、男のような組織や社会に対しての権力欲、支配欲のような醜悪な行動原理とは無縁。そこには、一応のコントラストが描かれている。

だけど、そもそもの原作コミックがそうなのだろうけど、ジョーカーの恋人という原初の設定から、独立した魅力あるキャラクターを造形するのに無理があったんじゃないかな。

結局、この映画の描写を見る限り、主人公の行動は、男のやってることとあまり大差はないように見える。

 

さらに言えば、主人公以外の女性キャラクターたち(Birds of Prey)との絡みも、とってつけたような表面的なものにとどまってしまっている。

本来なら、女性同士の精神的なつながりがもっと描かれるべきなのに、映画の設定による制約で、お互いにただ利己的な目的で一時的に協力しているだけのような印象。

このキャラクターの中で、他者への共感や思いやりという意味では、歌姫ブラックキャナリー(ジャーニー・スモレット=ベル)がビジュアル面も含め最も魅力的な女性。彼女が、クラブでローマンに凌辱される女性を見て涙する場面は、この映画で唯一の感動シーンだった。

そういう意味で、個別のキャラクターやエピソードには、それなりにいい素材もあるのに、それがほとんど生かされていない。

 

そういう意味では、スーサイド・スクワッドとか、続編があるのかもしれないけど、もし、Birds of Preyを含め、このキャラクターで映画を作るなら、もっともっと女性の魅力を活かした映画にしてほしいと思う。