マーベルにせよ、DCにせよ、アメコミ実写化のスーパーヒーロー映画なんて、普段はまったく見ないのだけど、この映画を絶賛する知人の強い勧めで「キャプテン・マーベル」を観てきた。
いやあ、すごく面白い映画だった。
主人公がとにかくカッコよく、アクションが痛快。
娯楽映画としての満足度は文句なしに100%。
もうここ何年もこれだけ鑑賞後にスカッと気持ちのいい作品を観たことがなかった。
世間的には(特に、コアなマーベル映画ファンにとっては)、この映画も「アベンジャーズ/エンドゲーム」の前座的な扱いなのかもしれないけど、自分にとっては、この映画単独でもう十分満足できる作品になってる。
正直言うと、マーベル映画はこれまで一作も見たことがなかったので、この映画を観たついでに、あらためてレンタルDVDやネット配信で「アイアンマン」や「キャプテン・アメリカ」や「アベンジャーズ」を見てみたんだけど、どうもいまひとつピンとこない。どれもそれなりに面白い映画だとは思うけど、「キャプテン・マーベル」ほどスクリーンに釘付けになるような面白さは感じられなかった。
「キャプテン・マーベル」の良さは、何と言っても、ブリー・ラーソン演じる主人公キャロル・ダンヴァースの魅力に尽きる。
何度倒れても、へこたれずに立ち上がる不屈のスピリット。どんなプレッシャーも口元に不敵な笑みを浮かべてはね返す、気持ちがいいほどのふてぶてしさ、ユーモア、心憎い負けん気の強さ。それでいて可愛らしく愛嬌のある、チャーミングな表情。生き生きとした、意志とパワーを感じる眼差し。
アクションも、スマートとか洗練されたとかいうより、シンプルで荒削りでストレートなのが、むしろ迫力とリアリティーが感じられ、かえって新鮮。覚醒した自分の真の力を完全にコントロールできないどこかバタバタしたバトル・シーンも、何だか不思議な開放感があって、とても爽快。スクっとした力強い立ち姿の何ともいえない優美さ。特に、クライマックスの宇宙での戦闘シーンでは、光り輝くオーラをまとい、圧倒的なパワーで敵を蹴散らし、歓声を上げながらの体当たりで巨大宇宙船も木っ端微塵にしてしまう、思わずほれぼれと見とれるほどのカッコよさ。いやあ、痛快この上ない。
さすがオスカー女優、とか言う表現はあまり適切じゃないのかもしれないけど、主人公キャロルの人格や内面描写を含む、しっかりとした存在感や実在感は、他のスーパーヒーロー映画にはほとんどないもの。
同じ女性ヒーロー映画ということで、ガル・ガドットの「ワンダー・ウーマン」も見たけど、この映画とはかなり違う印象。「キャプテン・マーベル」には、「ワンダー・ウーマン」のような主人公の美貌やスタイルやファッションなど、ビジュアル面のアピールは希薄だし、とってつけたような恋愛要素も皆無。「ワンダー・ウーマン」は、主人公の人格や内面描写も、綺麗過ぎて、どこか抽象的でリアリティーがない。主人公への感情移入も表面的なものにとどまる。
でも、主人公が表面的にカッコいいだけの、抽象的なアクション・キャラクターに終始しているという点では、「キャプテン・マーベル」以外のマーベル映画でも、結局のところ大同小異なんじゃないかな。
この映画、ストーリー展開も演出も娯楽作品としてほぼ完璧。非常にテンポがよく、観ていてまったく飽きない。何度でも観たくなる。アクションやバトル・シーンのメリハリとかバランスとかも絶妙だと思う。
キャロル以外のキャラクターも皆かなり魅力的。CGで驚異的な若返りを見せるフューリー(サミュエル・L・ジャクソン)との息のあったバディー感。親友マリア&モニカ母娘との友情エピソードは結構感動的だし、敵役(?)タロスも渋く、なかなか良い味を出していて、ジュード・ロウ演じるヨン・ロッグやミステリアスな雰囲気のミン・エルヴァ、クリーのスターフォース・メンバーも非常に憎々しく、いい感じ(笑)。アネット・ベニングとの名優同士の掛け合いも見応えあり。きわめつけは、猫(?笑)のグース、予想外の活躍に思わず喝采(笑)。
それに加えて、1995年という設定でのグランジやオルタナティブ・ロックのBGMも映像にぴたりフィットして、雰囲気をすごく盛り上げている。Holeの「Celebrity Skin」が流れるエンドクレジットとか、もういつまでもずっと見ていたい感じ(笑)。
一般世間の映画ファンにとって、興味・関心はすっかり「エンドゲーム」へ行ってしまっているんだろうけど、自分としては、「エンドゲーム」のあおりを受けて「キャプテン・マーベル」の上映が今週半ばで終了してしまうことの方が残念。
まあ、「エンドゲーム」もキャロル・ダンヴァースが出る以上は、一応見てみようと思ってはいるけど、それより、その前に「キャプテン・マーベル」をもう一度劇場で観ておきたい。
もう、既に3回観たんだけどね(笑)。