やっぱり波瑠さんのお芝居はいいな。

ドラマの方も予想外に(笑)なかなか面白い。

 

前半の涼太との結婚までの流れは、正直言うと、ちょっと描写が軽すぎる感じで、やや違和感もあった。

波瑠さんのお芝居をずっと観てきたから、どうしても、波瑠さんの演じるキャラクターには、落ち着きや品性や知性を感じてしまって、美都の軽くて浮ついたテンションとのギャップがあったように思う。

そんな美都の雰囲気が一変したのは、夜の公園でブランコに乗ってるシーンから。

中学時代の有島との回想エピソードを挟んで、ブランコに乗りながら、有島のこと、実らなかった初恋を思い出して、ひしひしと切なさが込み上げてくるような、揺らぎのある美都の表情。

ああ、美都って、こういう秘めた思いを抱いている人なのか、と思わず感情移入。

有島との再会から、ラブホテルへ入っていくまでの展開では、ずっとあきらめていた恋心が強く蘇ってきて、隠しきれない喜びへと次第に盛り上がっていく美都の心の動きに、ついつい気持ちが引き込まれていく。

特に、四葉のクローバーをお守りにしてた、という有島の言葉を聞いて、ぱっと輝く美都の表情には、我ながらまったく不覚にも、何だかうるうるしてきてしまった(笑)。

ラストのラブホテルのシーンも、気がつくと、ためらう美都の背中をつい押してしまいたくなるような感じ。

あれれ、そういうドラマを期待してたはずじゃなかったのに、おかしいな(笑)。

美都のためらいと悦びの感情バランス、思い切って部屋へ入っていくときの足取りとか雰囲気がまた絶妙なんだよなあ。

ほんと波瑠さんには、いつもまんまとしてやられちゃう、憎いなあ(笑)。

 

ドラマとしては、原作といろいろかなり変えてきたよね。

前半の原作にない涼太とのエピソード、特に結婚式での略奪エピソードとかは、美都と涼太の関係やこれからの展開を暗示して、まあ、分かりやすかったんだけど、ちょっと分かりやす過ぎて、若干不自然で見え見えな印象だったかも。

原作と最も違うのは、美都と有島の中学生時代、二人にセックスをさせなかったことかな。

これで、ドラマ全体のトーンがずいぶん変わってきたんじゃないだろうか。

四葉のクローバーのエピソードや、有島が美都の腕をつかむエビソード(美都のダイエット)とか、いろいろ象徴的で伏線になりそうな要素も盛り込んできてる。

美都の恋は、純愛っぽく描かれて、涼太パートと有島パートでは、美都の人格にも二面性があるような描き方になっている。原作の浅はかで軽くて、でも感情的にはややねっとりした美都の雰囲気とか、涼太に対しても有島に対してもずっと同じように地続きで自分勝手なメンタリティーの美都とは大きく違う。

でも、実写では、むしろこういうメリハリのあるプロットの方がずっといい。

テレビドラマの視聴者は漫画の読者と違って、読み手それぞれの解釈や感情のペースで、ドラマ鑑賞のタイム・コントロールやシーン・コントロールができないから、こうやって作り手がはっきりした意図を持って、見通しよく展開を見せていく方がベターなんだと思う。

 

ただ、ドラマ全体のビジョンはまだよく見えてこない。

下手をすると、ただ不倫=純愛の美化で終わってしまうかもしれないし、嫉妬や狂気でホラーまがいのドロドロ不倫劇にもなりかねない。

が、とりあえず、まずまずのスタートで、これからの展開がすごく楽しみではある。

ま、何と言っても、波瑠さんのドラマなので、そこだけは大いに期待してる。