えー、これまでも波瑠さんの魅力については色々なことを書いてきたんだけど、特に今回はかなり自分の主観、と言うか、個人的な趣味・嗜好、と言うか、勝手な思い込みのイメージに偏っているので、あまり参考にはならない、ってことで、あらかじめどうか悪しからず。

(まあ、これまでも、ずっとそうだったけど・・・(笑))
 
以前にブログで、波瑠さんのお芝居は、自己アピールが希薄で、キャラクターと一体になってる感じ、と書いたけど、今回のドラマでも、共演の寺脇康文が、いい意味で勝負してこない、狙わない、当たり前のように台詞を話し、そこにいるという芝居をしてる、というようなことを言っていたように思う。
確かに、視聴者に思わず目を見張らせるようなインパクトの強烈な「演技」はしない。派手さはないし、業界で話題になるような突出した「演技」もない。
だけど、いつも波瑠さんのお芝居を見ていて思うのは、作品全体の流れやトーンと常にぴたりフィットした、観る者にとってのある種「心地よさ」がある。それは、お芝居の「余韻」と言ってもいいかもしれない。
波瑠さんが主演やヒロインをつとめるドラマや映画って、共演者のインパクトの強い演技や脇役の濃いキャラクターに注目が集まったりすることが度々あって、波瑠さんが目立っていないとか、食われているとか言われたりすることもあるんだけど、でも、結局、ドラマが終わってみると、長く印象に残ってるのはやはり断然波瑠さんのお芝居の方なんだよな。
それは、長い目で見て作品やキャラクターとの一体感がそうさせているんだと思う。
ワンシーンでの最適やキャラクター(ないしは女優個人)としての最適ではなく、作品全体にとっての最適。いや、波瑠さんがそこまで実際に意識しているかどうかは別として、結果としてそうなっている。
その一方で、そのお芝居は、作品全体の中に希薄化して埋没してしまうのではなく、波瑠さんの素地の魅力や個性と密接不可分に結びついている。
 
これを何に譬えようか、と考えていて、ふと思いついたのが、ワイン。
 
昨今流行りのワインと言えば、新世界(カリフォルニアやチリ)に代表されるような、アタックが強く、果実味やタンニンが濃厚、樽香もきいた、インパクトの強いワイン。誰にも分かりやすく、飲みやすい。価格もリーズナブルで入手しやすい。
演技で言えば、感情表現中心の演技。と言っても、決してオーバーアクションというわけではなく、無言の演技や微妙な表情の演技もあるけど、要は、キャラクターの感情を視聴者に見せるための演技。たとえ複雑で繊細な「大人の」演技であったとしても、基本的には「表現志向」の演技なので見た目分かりやすく、視聴者がとっつきやすい。韓流ドラマとかが典型的かな。演技派と言われる役者の芝居も、だいたいがこのパターン。
 
これに対して、波瑠さんのお芝居は、旧世界、特にフランスワインのイメージ。
アタックは決して強くない。ワイン・コンクールとかブラインドのテイスティングとかでは、新世界ワインに負けたりもする。でも、その味わいや香りの深さ、表情の豊かさ、余韻の長さは、新世界ワインにはなかなか見出せないもの。
波瑠さんのお芝居は、イメージで言うと、ボルドーではなく、やっぱりブルゴーニュだな。波瑠さん自身の素地、つまりテロワールの良さを最大限に引き出した、素朴なブドウ農家が昔ながらのやり方で作る、丁寧で真摯なワイン。新世界ワインを飲みなれた人は、薄い、という第一印象を受けるかもしれないけど、何杯もグラスを重ねるにつれ、その味わいからだんだん離れられなくなる。
ワインのテイスティングで、「フィネス」という言葉があって、意味としては、優美さ、上品さ、繊細さ、高貴さ、血統の良さ、ということなんだけど、まさにこの「フィネス」を感じさせる。
まあ、ここからはもう完全に個人の嗜好と勝手なイメージだけの話なんだけど、波瑠さんは、ブルゴーニュでも、自分の大好きな「ヴォルネイ」の雰囲気がある。特に、そうだなあ、ダンジェルヴィーユやモンティーユのプルミエ・クリュで、ヴィンテージで言うと、少し若めで飲み頃の2007年くらい、かな(笑)。存在感は若干控え目で清楚かもしれないけど、とてもチャーミングで味わい深く、いつまでも飲み飽きない。
これから様々なお芝居で女優としての経験を積んで、内省を繰り返し、年齢的にも成熟してきたら、スパイシーさや芳香さを増して、「シャンボール・ミュジニー」のグラン・クリュから、究極的には、「ヴォーヌ・ロマネ」のグラン・クリュにもなれると思う。
 
というわけで、これはあくまで個人の趣味の話。
新世界ワインが好きな方や韓流ドラマが好きな方、また、演技派女優が好きな方も、それはそれで自分とは違うけど、それも悪い趣味だとは思わないし、決して否定しない。
自分も新世界ワインは、何だかんだ言って、チリとかニュージーランドとか普段結構飲んでるしなあ(笑)。あ、あと、ボルドー好きの方も、気を悪くしないでね(笑)。