んー、面白い。

思ったよりテンポも良く、展開もいい感じ。

 

波瑠さんはじめ、役者の芝居に奥行きと複雑なニュアンスがあって、観ていて、何というか、人間関係の潜在的な閉塞感がどんどん表面化してきて、次第に息苦しくなってくるんだけど、そのゾワゾワした感じがワクワクにつながって、心地よい息苦しさ(笑)。

こういうドラマって、観たことないな。

 

なかなか良い脚本書くじゃない、てか、やっぱり演出が丁寧だから、こういう味わいが出るんだと思う。繊細な日本画の花鳥風月をじっくり鑑賞してるようなイメージ。

美月と顕子と松島、まさにこの三角関係が、それぞれの間の心理に揺らぎや多重性が垣間見えて、その表情の描写がすごく良い。

第1回もそうだったけど、後半にかけて盛り上がってくる展開もいいよね。

学校で行き場がなくなってくる美月が父兄面談の後、喫茶店に松島を呼び出すシーン、顕子が盗み聞きして、この三人の表情の揺れ動きから、建築現場での顕子と松島の駆け引き、そして最後に美月と顕子の対決、二人の気持ちの重苦しい絡み合いへと一気に持ってくる展開はインパクトがある。

これって、普通には観ていてしんどくなってくるようなドラマなんだけど、斉藤由貴が言ってたように、波瑠さんの純粋で真っすぐな美しさがドラマを支えている。つまり、波瑠さん演じる美月が視聴者の感情移入を強く誘って、思わず応援したくなるから、美月を取り巻くネガティブでストレスフルな要素にも耐えられるってことだと思う。

 

ところで、一般の視聴者のドラマ評の中には、こんな母娘(特に母親)なんてあり得ない、とか、リアリティーを問題にするものも一部にあるみたいだけど、それはまったく違うと思うな。

いや、別にあり得ないからこそドラマ、って言ったら身もふたもないけど、じゃあ、逆にありふれたことばかり描いてたら、そんな詰まらないドラマもないでしょ、とか分かりやすい常識論を言うつもりもなく。

というんじゃなく、技術面とか物理面とか、社会的な制度みたいなものとか、ま、医療ドラマや刑事ドラマとかなら、そういうハード面での「あり得ない」設定のせいで、リアリティーが欠如して、とてもじゃないけど見てられない、ってことがあるんだけど、このドラマのように、人間の心理、という点に限っては、「あり得ない」ということはあり得ない(笑)。

人間の心って、結局何でもあり、なんだ。

っていうか、人間の心ほど、当てにならず、あやふやで実体のないものはなく、観念の暴走には限界がなく、非人間的、というような心情ほど実は真に人間的だったりする。

こんな心理はあり得ない、リアリティーがないからダメだ、などと言う人こそ、本当は人間の心のことなんてちっとも分かってない、って自白してるのと同じ。

おっと、これは蛇足、脱線でしたね(笑)。

 

とにかく、来週がなお一層楽しみ。待ち遠しい。