波瑠さんにとっては、ノンノ&ショート時代になって最初の連ドラ。

前回ブログに書いた「スイッチガール!!」から半年も経ってないのに、同じお嬢様キャラとは言え「ボスザル」とこのドラマの「姫」とでは波瑠さんのイメージが180度違う。

セブンティーンを卒業して髪型をショートにしたのは、やはり大きな転機になったんだろうな。

 

まずお芝居のトーンがすごくナチュラルになったように思う。作られた役柄ではなく、ドラマの設定に自然に溶け込んでいる感じ。

髪型がショートになることで、波瑠さん独自の魅力ある目や口元の印象が強まり、表情にも変化が出やすくなって、感情表現も豊かになったんじゃないかな。

また、髪型だけじゃなく、眉が細く描いた眉から素に近い眉になり、雰囲気がとても親しみやすくなったのも大きい。

結果として、お芝居にもかなり厚みが出てきたように思える。

 

姫こと夏目蓮花という役は、このドラマの中でもすごく重要な役。主人公・海音(大政絢)の中学時代の同級生で、親友でありながら、恋敵で主人公の障害でもあり、また、最後は主人公の背中を押すというキー・キャラクター。設定としても、中学時代は同級生のマドンナだったが、資産家令嬢から転落して経済的困窮からDV夫と結婚してしまった人妻、という複雑な背景を持った二面性のある役。でも、この難しい役をすごく魅力的に演じている。

特に、もう一人の主役・竜生(福士誠治)との絡みのシーンは、とても見ごたえのある素晴らしいお芝居だと思う。竜生の母親に交際を咎められ、涙ぐみながら去っていくシーンは、作り笑顔との表情のギャップが見事。ドラマの中でもこの二人は、ちょっと別格な雰囲気がある。

キャラ設定としては、「女の子ものがたり」のきいちゃんと重なるところもあるみたい。そう言えば、これも福士誠治が出てたな。あと、旦那に殴られて顔に青あざつくってるとこも(笑)

 

ただ、ドラマとしては、んー、あんまり単純化しちゃ申し訳ないけど、よくある複数男女の青春ラブロマンス群像劇だよね。三角関係とか四角関係とか、恋愛と友情との間の葛藤とか、経済的打算と真の愛情との間で揺れる心とか。

ちょっと独自性があるとすれば、舞台を海辺の地方にして、母親の病気と生活保護への後ろめたさを抱えた竜生とか、夫からの自立を模索する蓮花とか、やや重めの要素をとりこんでいるところかな。そういう意味でも、福士誠治と波瑠さんのドラマにおけるウェイトがかなり大きいように思う。

逆に、正直言って、主人公・海音は、キャラや感情が分かりにくく、十分にドラマのプロットが表現できてなかったような気もする。大政絢ももうひと頑張りだったかな。中学生役の子役達と波瑠さん達とのギャップも結構気になったし。

例えば、最終回の結婚式前夜の海音と蓮花のシーンも、役柄的に仕方ないんだけど、波瑠さんのお芝居までどこか説明的でストーリー進行の都合みたいになっちゃってる感じ。

ノンノの仕事仲間で仲が良くて、かえってお芝居はやりづらくなかったのかな。なんか二人のシーンは、普通の女子トークみたいにも見えたり(笑)

 

でも、全体的には、ノンノ&ショート時代の波瑠さんのスタートラインにふさわしい、よいお芝居だったように思う。

そう言えば、先日、このドラマで共演した佐藤ありさの結婚のお祝いがあって、大政絢と一緒に波瑠さんもお祝いしたとのことで、ほんとに「結婚同窓会」になったんだね(笑)

 

ちなみに、ほぼ同時期に出演した「東野圭吾ミステリーズ・小さな故意の物語」でもそうだったけど、こういう少し影があって、大人びたキー・キャラクターみたいな役どころで、これ以降、しっかり女優としての足場を固めたと言えるんじゃないかな。

ただ、ちょっとだけあえて言うと、やはり主役ではないので、どちらのドラマでもキャラ設定がどうしても御都合的にはなっちゃってて、波瑠さんの魅力が十分に発揮できてるとは言い難いとこはあるように思うんだよね。

例えば、「小さな故意の物語」での最後の告白シーンとか、二人で手をつないだときの回想シーンとか、、とても感動的で素晴らしいシーンではあるんだけど、ドラマ全体からすると、恋人を死においやっておいて動揺とか後悔みたいなものが希薄だったり、ま、それは要するに「犯人」がばれちゃうからドラマ上は出来ないんだけど、波瑠さんならほんとはもっと良いお芝居ができるところをプロットの都合で制約があるのは残念。

 

やっぱり波瑠さんは主役こそ真骨頂だな。

「あさが来た」がヒットしてくれて、ほんとに良かった。