和泉式部
在らざらむ この世のほかの思ひ出に
いまひとたびの逢ふこともがな
「私の命はもうすぐ
絶えてしまうでしょう
その前にもう一度あなたに
逢いたい」
和泉式部は人妻であり
娘もいるのにロイヤルな男性
(親王)から求愛を受けます
(※これは和泉式部の「離婚後」だと
書いてる本もあります)
しかもまずは兄から・次に弟から
男性の正妻が怒って出て行ったり
スキャンダルに
その後別の男性と再婚も
さぞや美しく魅力的な女性
だったのでしょうね最後に
逢いたいと思ってもらえた
男性は誰なんでしょうか
和泉式部も中宮彰子に仕えており
(出仕はスキャンダルの後)
紫式部の同僚になります
『紫式部日記』の中で和泉式部は
次のように書かれています
和泉式部といふ人こそおもしろう
書き交わしける。されど和泉は
怪しからぬ方こそあれ。うちとけて
文走り書きたるに、その方の才ある人
はかない言葉の匂ひも見えはべる
めり。歌はいとをかしきこと。
「和泉式部とは趣のある文通をしました
でも彼女には感心できない面があります
気の置けない走り書きのような手紙でも
文才があるので、何でもないちょっと
した言葉でも香り高く思われます
彼女の和歌はとても情趣深いのです」
この続きは「批評文はイマイチ」とか
「こちらが恥ずかしくなるほど歌が
上手いってわけじゃない」等、少し
難癖をつけるような感じになるの
ですが紫式部が和泉式部の
文才を高く評価していたことは
確かなようです
彰子サロンにはサロンを
盛り上げるため文才ある女房が
呼び集められたのですね
和泉式部も学者の家・
大江家の出身
赤染衛門の夫が大江匡衡 (おおえの
まさひら)ですから親戚なのかな
匡衡も紫式部の父や兄と同じ文章生
(官吏養成機関である大学寮の学生)出身
で、文章博士(大学寮教官)
和泉式部の父・大江雅致(おおえの
まさむね)も文章生出身らしいです
文章生時代の菅原道真が鋭い推理で
平安クライムの謎を解き明かすマンガ
文章生の衣装はとてもカワイイです
ちなみに紫式部の父・為時は
道真のお孫さん(文時)の門下生
文章生出身のお父さんって
女子にも漢文・漢詩を教える人が
いるし、幅広い学識と世間知があり
理解もありそうなイメージですが
雅致はスキャンダルを知って
娘を勘当したとか。。。
身分差の大きいロイヤル貴公子様方
からの求愛を断るのは実際問題
難しいでしょうに
実は
ロイヤル貴公子兄弟は藤原兼家の
お孫さん(母が兼家長女の超子・とおこ)
兼家みたいな強引な方だったかも
「恋多き波乱の人生」で知られる
和泉式部ですが
恋の歌とともに有名なのは
早逝した娘を思って詠んだ
哀傷歌の数々です
などて君むなしき空に消えにけむ
あは雪だにも ふればふるよに