白のシャツやブラウスは何枚も持っている。
けれど、白一色で装ったことは人生で一度もない。
本気になれば、高価なウェディングドレスやタキシードでなくとも、スーパーに売っている安い白のTシャツやシャツにカジュアルなパンツやスカート、ジーンズなどで、今日にも出来ることなのに。
街中に黒一色の人は珍しくない。だが白一色の人は全く見かけない。
なぜこんなに勇気がいるのだろう。
それはたぶん、汚れるのが嫌だとかいう現実的な理由よりも、目立つことがこわい、また自分の内面や存在が純白に一致しない、居心地の悪さを感じるからではないか。
完全に純白な気持ちになれるのは、やはり結婚の日くらいなものなのかもしれない。
亡くなった祖母の若い頃は逆に喪服が白だったという。

生まれた時は純白の産着に包まれていたかもしれない。

一生に一度くらい、やってみたい。靴も鞄も、逃げないで。

まずは白一色の花束から始めてみようか。

白一色で描いたことも、これが初めてのような気がする。


(使用画材: パステルペンシル、黒い紙、画像加工)