歴史=勝者側から見た歴史 | てきとうな日々。

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うちの夫婦は歴史、特に古代史が大好きなのでそれっぽい番組を見てたんですが、
タイトル通りのことを再認識させられることがありました。
(夫はローマ、私は日本)


ローマ帝国第5代皇帝ネロ。
一般的には「暴君ネロ」として知れ渡っている。

ネロは芸術肌で、時にはジャイアンリサイタルを開いたり
女海賊ビアンカよろしくマヤったりした人物である。
芸術を愛でていたかったのに、史上最強のカーチャンのせいで皇帝になっちゃった系男子。


そういう為政者というと真っ先にルードヴィヒ2世思い出しちゃうんだけど、
あの子残虐なことしたっけ・・・?
確かに政治的に無能ではあったけど・・・


と思っていたところ、どうやら最近の考古学的にはネロは民衆に大変人気のある皇帝であり暴君じゃなかったという証拠が出てきているらしい。
(裏はとってません)


あれ?じゃあなんで暴君ってことになったんだ?
これがずーーっと疑問だった。



歴史とは勝者の歴史である。
日本でも近年「大化の改新」が「乙巳の変」になった。

「悪いことしてた蘇我を正義の中大兄皇子(天智天皇)と中臣鎌足(藤原鎌足)がやっつけた」
というストーリーが
「政治の中心にいた蘇我を中大兄皇子と中臣鎌足が謀殺した」
という考古学的事実に書き換わったんですよ。

「なんのためにそんなことを?」と夫に聞かれたのですが、
そんなの天智系が正当な皇位継承者ですよって言いたい藤原氏がやったに決まってんじゃん?
(※天智系、天武系で皇位を争ってた)

日本の歴史は藤原による歴史なのですよ。

記紀においてはヤマト朝廷からの一方的な、
中世においては藤原氏からの一方的な、
江戸においては幕府からの一方的な歴史観なのですよ。


あ、ちなみに「聖徳太子」が「厩戸皇子」になった件ですが、
私は当時の合議制ヤマト朝廷が「聖徳太子」だと思ってます。
厩戸はその中のひとり。
つまりいろんなトコの首長が何人もの話を聞いたりしてたわけ。
そりゃ1つの人格として見たら超人になるわけだ。



話をネロに戻そう。

番組ではコロッセオについてやってたんです。
コロッセオはネロの宮殿にあった人工池の跡地に作られた。
ネロの後の皇帝が工事を開始した・・・って、ネロが憎まれてたら前代の皇帝を象徴するような場所に建てるか?!

ますますもって謎。


だいたいこの宮殿、ネロがローマに火を放って更地にしてから建てたと言われる宮殿である。
いくら再利用とはいえ、そんな建物を人々は好意を持って迎えられるのか?



さーて、この「ローマ大火」
ネロが犯人としたのは誰だったでしょう。





ネロが「暴君」とされることになった原因はこれに尽きると思います。

人類史上初めてキリスト教徒を迫害しました。




世界最大宗教であるキリスト教がネロを暴君に指定したのでした。

当時はネロだけではなく、ローマの多神教を否定するキリスト教を敵視する人が多かった様子。
にしても今ローマがカトリック教会の最高峰だというのはとても皮肉。

宗教とは当時必要な法律のようなものだと思うのだけど、
何が正義かという価値観が違えばそりゃ争いになりますわね。



ちなみに日本では冤罪や不当な罪に問われた人物は必ず怨霊となり祀られます。
藤原道真なんかは広く知れ渡っている怨霊ですが
個人的には平将門も怨霊だと思うので見直してほしいところではあります。