思春期の女子の友人関係では、「同一化」が非常に起こりやすい傾向があります。
これは性格の問題というより、発達段階と社会的環境が重なった結果として構造的に起こりやすいものです。
思春期は、「自分は何者か」という自己像がまだ安定していない時期です。
そのため、自分単体で立つよりも、「誰かと一緒であること」「同じであること」「共通点を持つこと」によって、安心感を得やすくなります。
この段階で起こる同一化は、本来は一時的で、発達過程の一部でもあります。
しかし、ここで不健全な形になると、友人関係が急激に不安定になります。
不健全な同一化が起こっている友人関係では、次のような特徴が見られます。
・行動や好みを合わせることが前提になる
・意見の違いが「裏切り」と受け取られる
・他の友人関係を持つことを嫌がられる
・感情の浮き沈みを相手に処理させようとする
・距離を取ろうとすると強い不安や攻撃が出る
この状態では、「一緒でいること」そのものが目的化し、個人としての感覚や選択は後回しになります。
特に思春期の女子の場合、言葉ではなく空気や感情でつながる関係が多いため、境界線が曖昧になりやすいという特徴があります。
その結果、
・相手の気分に過剰に反応する
・自分の本音が分からなくなる
・関係が壊れないように自分を抑える
といった状態に陥りやすくなります。
これは友情の深さではなく、同一化による不安定さです。
不健全な同一化が進むと、関係は次第に次の二極化を起こします。
・常に一緒にいないと不安
・少しのズレで一気に断絶する
親密さと拒絶が極端に振れやすくなり、安定した関係を維持することが難しくなります。
このとき、距離を取ろうとする側が「冷たい」「変わった」「裏切った」と評価されることも少なくありません。
重要なのは、この問題は「性格が合わなかった」からではない、という点です。
未熟な同一化の段階では、違いを保ったまま関係を続ける、という選択肢がそもそも見えにくいのです。
成熟した関係性では、
・違っていても関係は続く
・感情は自分で処理する
・距離を取っても関係は壊れない、という前提が成立します。
しかし思春期では、この構造を学ぶ前に強い同一化が起こってしまう場合があります。
思春期の女子の友人関係で起こる不健全な同一化の問題は、誰かが悪いという話ではありません。
発達段階・環境・感受性が重なった結果として起こりやすい構造的な現象です。
その構造を理解することで、過去の人間関係を「失敗」や「自分の欠点」としてではなく、過程として捉えなおすことが可能になります。