内なる女性性と男性性
私は女性として生まれながらも、思考や行動の傾向はどちらかといえば男性的でした。論理的に考え、結論を求め、感情よりも理由を優先してしまう。そんな自分の未熟な言動で上手くいかなっかた経験もあり、「私のこの部分は間違っているのでは」と感じ、長いあいだ自分の中の男性性を否定してきました。
けれど最近になって、否定していたその部分こそ、私を支えてきた大切な力だったのだと気づきました。方向性を定め、行動するための意志、責任を引き受ける力。それはまさに男性性のエネルギーです。
そして、それと対になるのが女性性。女性性は「受け取る力」や「育む柔らかさ」として、安心感やつながりを生み出すエネルギーです。どちらかが優れているのではなく、両方がそろって初めて、自分という存在が調和していくのだと思っています。
心理学者カール・ユングは、人の心の中には性別を超えた二つのエネルギーが存在すると提唱しました。男性の無意識には「アニマ(女性性)」が、女性の無意識には「アニムス(男性性)」がある。つまり、誰の中にも相反する性の側面が宿っており、その両者が統合されるとき、人はより深く自己を理解し、成熟していくという考えです。
自分の中の男性性を否定していた時期、私は「優しさ」や「思いやり」を大切にしようとするあまり、どこか自分を小さくしていました。でも本当の優しさは、自分の内側の強さと結びついてこそ生まれるもの、行動する勇気や決断する力があってこそ、他者への思いやりも現実的なかたちになるのだと今は思います。
誰かを支配したり優位に立つための力ではなく、目標へ向かう推進力としての男性性。そして、それを包み込む、受容と共感の女性性。その二つが調和することでより自分らしく生きることができるようになります。