私はごく普通のサラリーマン家庭に生まれた
普通の女の子でした
あの日までは
小学校の卒業式を終えた次の日
我が家は朝から運送屋のトラックがきて引っ越しで大忙しだった
母は私に
「外に出ないで家の中に居なさい!」
私は家の中で荷物が運ばれるのをじっと見ていた
外に出てはいけない
それには理由があった
近所の人には内緒の引っ越し
引っ越しすることなど、誰にも話していない
もちろん学校の友人にも先生にも
中学は近所の中学に行くことになっているが
そこには通えない
我が家がこんなことになっているのは
半年前のある事故が原因だった
私には6歳上の兄がいる
兄は中を卒業してから素行が悪く
地元の暴走族に属していた
その兄がバイクの後ろに中学の同級生に頼まれ乗せて走っていた
もちろん暴走族だから普通に運転するわけもなく
蛇行運転を繰り返していた
後ろに乗っていた同級生は普通の高校生
そんな運転に慣れているわけもなく
ふり落とされ死亡していまったので
その子の賠償を背負った両親
悪いことにその子の弟が私の同級生
両親は賠償金の支払いの為に購入して6年の家を売ることに
亡くなった子の弟が同級生である私を守るため
事故の事、私の兄の事を知らない中学へ行くために
隣町への引っ越しを決めた
もちろん引っ越し先はだれにも知られないように
その為の内緒の引っ越しだった
ご近所さんは外にでて運送屋のトラックが来た我が家を見ながら
ヒソヒソと話をしている
運送屋が出発して
ご近所さんが見ている中
頭だけ下げて私たちも出発した
自分で言うのもなんだけど
それまでは会社の支店長を務める父のおかげで
そこそこのお嬢さんだった
その日から生活は一変した
3LDKの庭付き一戸建てから
二間の貸家に引っ越した
母が中学の転入手続きを役所でしてくれていた
学校への挨拶を春休み中に終えて
入学式を待つばかり
誰も知らないところへの入学
両親は私が安全に楽しい中学生活を送ると思っていた