中島敦の作品を読んだ感想。 |  ろぜのポジ♪ブロ ~RAINBOW~

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基本笑顔、
基本ポジティヴ。
書くことでコントロールできる
こころのもちかた。

高校の国語の教科書で読んだ「山月記」には

当時心が震えたが、あらためて中島敦の本を買ってきて

こんなに年齢が大人になってから読んでみると

「こんなになってまで妻子のことよりも自分の詩の

ことを先に頼むなんて」って泣くところに

自分もそうするのではと思って自分が嫌になるっていう

震え方になった。虎になるほど悪いことじゃないのに…

という納得できない感じと、この肥大した自尊心みたいな

のは虎になっちゃうくらい人にとってやっかいなものだ

と納得する感じの両方あったりする。

しかし

他の作品もなかなかにすごい。

「名人伝」は、読みおわって一瞬「どゆこと?」

って思うんだけれど自分はこう解釈する、という

思考に自然に至る。これは小学生が読後に話し合っても

面白いことになりそう。

「悟浄出世」は、考えても答えの出ないことを

考えすぎて悩んで病気みたいになって

いろんな偉い(といわれている)人に答えを聞きに行く

悟浄に対して共感してしまうし

「悟浄歎異」は悟浄の目から見た三蔵法師と

悟空の関係分析や八戒の奥底の気付きを

鋭い!と思い、

でもかれらのなかで悟浄が一番愛おしいやつだと思う。

「李陵」「弟子」も含め、

中島敦の作品には究極の「考えすぎる人」と「考えないすごい人」と

「考えることを超越した人」が出てきて、協働すると

何かを成し遂げ、単体だと滅びに向かう気がする。

 

普通の人はそれらのタイプの究極になってないバージョン

や、まだらに組み合わさったバージョン

だから世の中を渡っていられるのかもしれない。

究極のバージョンの人は天才ですごい人で

でもそれだけに他のタイプの人に出会えないと

生きづらいかもしれない。