香水人魚
僕は、香水の中に人魚を買っている。
香水の中の人魚は美しい。
白い肌に黒い髪、切れ長の怪しい目、赤い唇、八重歯はよくみると金色に輝き、僕は見惚れる。
鱗は、一つ一つがばらばらに輝く。
彼女が舞うと、鱗がはがれて彼女を包む。ただそれだけなのだけど。
沈んだ鱗を自らの尾で、かきあげて、また鱗の雪を降らす彼女は妖艶で無邪気なのだ。
人魚は、別れた彼女にあげようと思ってて買ったものだ。
香水の中の人魚は、いつのまにか、いた。
香水の中の人魚は喋らない。喋ったとしても僕のような男だから。ののしられるであろう。
喋れなくて幸いだ。
人魚をみると彼女を思い出す。
美しくて素敵な女性だった。
『声ださないの?』彼女を抱いてるときに僕は聞いた
『あなたに夢中で、出せる声がため息に変わってしまう…』
美しくて美しくて、低い声でいうのだ
人魚は、いつまでいるだろうか。
彼女のように突然現れて、突然消えるのだろうか。
