八丁堀駅で乗り換えをしていたときのことだった。
切符売り場の路線図の前で、6人ほどの外国人観光客らしいグループが立ち止まり、何やら困っている様子だった。
思い切って声をかけた。
「May I help you?」
すると、そのうちの一人の女性が、
「MUJI」
と言った。
最初は何のことか分からなかった。
聞き返すと、続けて
「Ginza」
と言う。
そこでようやく、銀座の無印良品に行きたいのだと気がついた。
最初は東京駅で乗り換えて有楽町へ行く方法を考えたが、旅行者には分かりにくい。
それなら日比谷線で銀座駅まで行く方が簡単だと思い、一緒に地下鉄の改札へ向かった。
切符の買い方を説明し、ホームまで案内した。
私は反対方向だったので、そこでお別れになった。
シンガポールから来たという50代くらいの女性たちだった。
皆とても感謝してくれた。
別れ際に私は、
「Have a nice day!」
と声をかけた。
すると笑顔で手を振り返してくれた。
私にとって印象的だったのは、海外から来た人たちが銀座そのものではなく、「MUJIのビル」を目的地にしていたことだった。
そしてもう一つ。
JRには銀座駅がない。
東京に慣れている人には当たり前でも、旅行者には分かりにくい。
そんなことを改めて考えさせられた出来事だった。