3・某所
どこで京子を救出するか。
京子フリークの仲間から仕入れたスケジュールをにらみつける。
京子はまだまだ新人なので、スケジュールは公表されていないが、マルミーのスケジュールを調べればBOX-Rの撮影日やスタジオはわかる。 その他、毎週TBMに行っている日があるらしいが、なんの仕事かは謎らしい。
あとは、高校か、事務所だが、最近事務所に入ったきり出てこないこともあるらしい。
駐車場から車で仕事先に行っているのかもしれない。
そうなると、事務所で張り込みは無駄足が多そうだ。
学校もスケジュールが分らないところで他の仕事に出ていると空振りしそうだ。
結局、確定しているTBMの日か、BOX-Rの日か・・・。
張り込みできそうな場所があるか、一度どちらの現場も確認しておいた方がいいな。
俺は下見の結果、BOX-Rの現場で京子を助け出すことに決めた。
近所に住む従姉から車を借りて、丸一日、BOX-Rのスタジオのそばで張り込んだ。
日が暮れた頃、数人が出てきた。
「お疲れ様。」
「京子さんお疲れ様。 マネージャーの車で駅まで送りましょうか?」
「ありがとう、でも大丈夫よ。 またね。」
京子は仲間に軽く手を挙げて、颯爽と歩いて行く。
一人駅へ向かう、その後ろ姿に見とれながら、俺は車でゆっくり後を追った。
もうしばらくで駅に着くという頃、周りに誰もいないのを確認して俺は京子を追い抜き、車を停めた。
俺は車を降り、話しかけた。
「すみません。 この辺りに郵便局ありませんでしたか?」
「え? えーと。 そういえば、あっちの方に」
京子が後ろを振り向きながら指差した瞬間、俺は京子を捕まえて後ろ手におもちゃの手錠をかけ、後部席に押し込んだ。
後部席はチャイルドロックで中からは開けられない。
「ごめんね。京子ちゃん。君をあの男から助けるために、ちょっとの間我慢してくれ。」
俺は、自分の家に向かって車を急発進させた。