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今回、蓮とキョーコは一緒に雑誌の取材を受けることになった。
タイトルは『悪(ワル)』。



「今日は、『悪(ワル)』というタイトルでダークムーンで共演なさったお二人にお話をお聞きしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
女性インタビュアーのあいさつに、二人揃って頭を下げる。


「『悪(ワル)』ってすごいくくりだよね。」
蓮が笑いながら、キョーコに水を向けた。
「はい。オファーの時に伺ってはいましたけど、改めて言われると複雑なモノがありますねえ。」
「そうだね。」
「敦賀さんはいいですよ。 本当に悪い男(ひと)なんですから。」
「こらこら、誤解を招くような発言をしないように。」
蓮は苦笑いでキョーコをたしなめる。


「さすが、同じ事務所で半年間一緒にダークムーンの共演をしてきただけあって、お二人息がぴったりですね。

ダークムーンのスペシャルの番宣でお二人が並んでいらっしゃった姿を拝見して、うちの編集長がこの企画を思いついたんですよ。 

ドラマの中では敵愾心を見せ、憎み合っているかのようなお二人が、ドレスアップして本当に同じ人たちかと思うような仲好しな雰囲気を醸し出していらして。 

その差の激しさに、役者さんってすごいなあって、改めて感激したようなんです。 

そういう、役柄としての話とプライベートな部分も少し見せていただけたらな、と思っています。 

特にキョーコさんは実際にお逢いしてみると本当にかわいらしい方で。」
蓮は余裕の笑みだが、キョーコの方は褒められた途端に照れて挙動不審だ。