続きを書いたら、台無しになると思っていたのですが、

なんとなく、思いついちゃったんで書いときます。

苦情お待ちしてます。


★★★★★


『彼女は誰? CM編』

 

静かな中にピアノの旋律。 

指一本で弾いているかのようなたどたどしい調べだが、妙に惹かれる。

画面を見ると、色とりどりの花で幻想的に彩られた中央の

ひと際大きな花のつぼみがゆっくりと開いていく。

その中から、天を仰ぐ一人の少女が現れる。

腰から上の後ろ姿で、

素肌にヴェールのような薄いシフォンの生地だけをはおっている。

少女が振り向くそぶりを見せた瞬間、

『無垢な素肌を護りたい』というキャッチコビーと

10代の女の子向けのボディケアシリーズの商品に画面が変わる。


これが、椹さんの言っていたCMか。

ポスターもきれいだったけど、CMはそれ以上にきれいな出来だ。

ピアノの音、CGと思われる大きなつぼみの開く様、

背中だけだが、薄い生地から透けて見える均整の取れた身体つき。

なにより、少女の顔が見えそうで見えないところが興味をそそる。

「これは・・・。やばいかも。」


問い合わせがあれば、いくら本人が内緒だと言っても、

製作サイドや、クライアント側が公表するだろう。

本来キョーコにとっても、それは悪い話ではないのだ。

恥ずかしいという気持ちはあるかもしれないが、

アクの強い役でブレイクしたキョーコのイメージを

一瞬で払拭してしまうくらいのインパクトがある、と社は思う。

もし、キョーコのマネージャーであれば、

こういうきれいなイメージこそ、どんどんプッシュしていきたいところだ。

「ただなぁ、俺は蓮のマネージャーなんだよね。蓮の機嫌の方が優先だから・・・。」

なるべく、蓮の目に触れないようにするのが、一番かもな、と思っていたのだが・・・。


「あ。」

つい声が出てしまった。

俺の声に、チラッと画面を見た蓮は、微かに笑った。

「え?」

「なんですか?」

「いや、なんで、これ見てそんな顔してるのかなって。」

「ああ、別に。」

蓮は、ごまかすように口元を押さえて、顔を背けた。

「なにか、やったな!? ちゃんと言わないとキョーコちゃんを問い詰めるぞ。」

「彼女は関係ないです。 やだなあ、社さん。」

「俺をごまかせると思うなよ?」


「別にたいしたことじゃないんですよ?・・・社長からメイキングをもらったんです。最上さんに内緒で撮っていたそうなので、もらうついでに口止め料としてクライアントにも製作会社にも、絶対に公表しないようにしていただいただけですよ。」

「メイキングって、あのCMの? 」

え、と? あのCMって、全裸だよ? メイキングってことは、全身・・・は映っていないにしても、際どいカットはあるんじゃないだろうか・・・。

なにしろ、全員女性で撮ってたっていうんだから、いつも以上に無防備な姿のキョーコちゃんが・・・。

いや、でも、さすがにそんなのが映ってたら、社長が蓮に渡すなんて事はない、と思いたい・・・。

「それをもらっておきながら、口止めってお前何かまちがってないか?」

「大丈夫です。メイキングDVDが存在することも、俺がそれを持ってることも秘密ですから。」

蓮が口止め料払うならともかく、どうしてそうなるのか俺には理解が出来ない。

「いいじゃないですか。本人も公表したくないんだし。本当はCM自体差し止めにしたかったんですが、さすがに社長に呆れられたんで、諦めました。」

常識を覆す発言に俺は唖然とした。

公私混同もはなはだしい。

俺は、キョーコちゃんの将来が心配になってきた。


「・・・・で?お前がそんなに機嫌が良いってことは、さぞかしおいしいDVDだったんだろうな?」

疑心だらけの俺に、件の芸能界一いい男は、キュラキュラの笑顔で振り向いた。

「ないしょ、です。」

                        FIN

★★★★★


そんなこんなですが、

ぐだぐだで、かなり横車な蓮になってしまいました。

蓮の理屈は社さんばかりでなく、私にも理解不能です。

本当にすみません。

やっぱり台無し。