「あなたの心の隙間を埋める為に
僕はいるんじゃないんだ、、、」



彼はそう呟いた

その風にも消されてしまいそうな声は

遥か遠く
時空を越えて飛んできた


エメラルドグリーンの湖に
浮かぶ城が見えた









彼女には立場があった
そうするしかなかった

酷い事を言ったかもしれない
冷たい態度をとったかもしれない

でもきっと
彼の事は
本当に愛していたのだと思う

ちゃんと
伝えてあげれば良かったのでは?
本当の気持ちを




純粋な彼には理解出来なかったんだ
そんな事情など


彼は絶望だけを残して先に逝った。

もう2度と
人など信用しないと

そう誓って逝ったんだ、、、






彼女は

自分のせいで彼を亡くしてしまったと

罪悪感を背負ったまま
その後、長い生涯を終える







そして






長い長い時を越えて

何百年もの時を経て

また二人は出会ったんだ







誰も信じない
誰も愛さない
そんな冷ややかな目をしている
お互いの中に同じ闇を見たんだ

そして
何処か懐かしい
無条件で愛しい
不思議な感覚で魂が震える


いつしか
彼女の闇は彼によって光に変わっていく
彼は闇と光の狭間で揺れている


次第にそれは
失うの事への恐怖に繋がる

得体の知れない不安が募っていった



彼には立場があった
そうするしかなかった

彼女に冷たく当たって
突き放した


彼女は悲しみの底に沈んだ


ちゃんと気持ちを伝えてあげれば良かったのでは?
本当の気持ちを、、


彼女は悲しみの海の底で
もがき苦しんだ




でも彼女は
信じる道を選んだ



「君の心の隙間を埋める為に
僕はいるんじゃないんだ。。」

彼の呟きが聞こえてきた




ごめんなさい。、


彼女は泣いた

ちゃんと気持ちを伝えるべきだったのは
また彼女の方だったのだ





もう
何度も何度も
同じ事を繰り返してはいけないよと

高次が言う

もう
間違えてはいけないよと


。。。






ごめんなさい。。。






激しい動悸と
熱い涙で

目が覚めた。




私は誰?