尊いこと | Atelier Plaisir

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花とAngelと美的生活のアトリエです。










今日は、病院で定期検診があり、帰りに築地からタクシーに乗った。


しばらく乗ってから、主人が、

「メーターが上がってないよ」と

気がついて、運転手さんに教えてあげた。


運転手さんは、謝りながら、

「タクシーの運転手を1年半前に始めたので、今だに慣れないことがあるんですよ」 と、話し始めた。


運転手さんは、70歳、宮城の気仙沼の出身。


東日本大震災で、ご家族の奥さん、お子さん達を全員失なった。


フカヒレの工場を経営していたが、従業員50人が犠牲になり亡くなった。


自分だけが、たまたま出張していて助かった、とのことだった。


一年半前に、千葉の知り合いが、状況を見兼ねて、誘ってくれて、気仙沼から上京して、東京でタクシーの運転手をすることになったという。


震災の直後に知り合った、やはり家族を亡くした9歳と10歳の子供達を養子にし、現在一緒に暮らして養っており、頑張って家も千葉に建てたらしい。


子供達が、健気に一生懸命に成長してくれるのが、自分の今の幸せだと優しく話してくれた。


運転手さんのお父さんが亡くなる間際に、「人の役に立て」と

言われ、心に念じて生きているとのこと。


想像を絶する運命に翻弄されながら、淡々と優しく語る彼が、仏様の様に感じた。


哀しみを越えて、前向きに、

人のために。


慣れない東京で、高齢で働くのは、大変な事だろうと思う。


でも、生きている限り、人の役に立ちたいという言葉がとても尊く感じた。


自分達がいかに幸せで、恵まれているか、考えさせられた。


何かのメッセージかもと思った。


涙が止まらなくなった。



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