世界のブナの森 -500ページ目
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酒田

味好駅東店のラーメンを食べに酒田に行った。ここの主人は淡水魚の調査をしており、山形で保全に取り組む仲間でもある(いや、大先輩なのだが)。月山道はものすごい吹雪で視界がほとんどない場面も多く、久々に猛吹雪に遭った。白畑孝太郎氏宅の庭は、すっぽりと雪に覆われていた。いろいろな草花もカンアオイも雪の下。そこに、ヒヨドリが飛来してアオキの実をついばんでいった。持ち合わせたカメラでは点にしかならなかったが、窓の外をしばらく眺めていた。そして、白畑氏の30年前の白黒写真のなかにも、自宅で撮ったヒヨドリがあったことを思い出していた。彼は「ヒョウドリ」と記していた。






初詣

山形の宮町に越してきて、初詣の人の多さに驚いた。だいたい、蕎麦屋が朝まで徹夜で営業していることもこれまでは知らなかった。私はお寺に育ったので、いずれにせよ年末年始に人が動くことには慣れているのだが、敢えて静かな場所に行ってみたくなった。昨年評伝を出版した白畑孝太郎氏が生まれ育った、上山市宮脇の宮脇八幡は、折からの雪に包まれて静まり返っていた。




村山・庄内地方の神社にはケヤキの大木が多い。ここも、アカジマトラカミキリとオニホソコバネカミキリを探して、それぞれ7月と晩夏に何度も足を運んだのだが、両方とも確認には至らなかった。オニホソコバネカミキリは、巨木の樹洞に生息する。そして、こうした神社のケヤキがいろいろな鳥に樹洞を提供していると聞いたことがある。しかし近年、コンクリートを埋め込まれた巨木を見かけることが本当に増えた。そして、この神社にはそれがない。



雪が来る前に

明日あたりから根雪が来るらしいので、ずっと気にかかりながら行けずにいたマークオサムシの越冬態を撮影しようと山形県内に行く。50地点以上を執念で調査したなかで発見した唯一の生息地だが、湿地の乾燥化が進んでいるし、埋め立てや大規模な道路建設もすぐ脇で始まっている。雨のなかだったが、結局、アオオサムシが10頭以上確認できたのにマークオサムシはゼロ。アオオサムシは朽木を噛み砕き、器用に美しい越冬窩を作っている。土のなかで越冬するときもそうやって部屋を作るのだろうが、朽木の中だとその過程が分かりやすい。







アオオサムシの個体数は明らかに増えている。これも乾燥が進んでいることを示しているには違いないが、現在の社会の仕組みでは、直接の埋め立てなどでない限り、間接的な周辺の開発などではこうした希少種に対策を打つ術がないのも事実だ。本当は草刈りで遷移を止める必要もあるのだが、その仕組みづくりもかなり困難な道のりとなっている。マークオサムシが確認できなかったことは、かなり残念で気落ちした。すぐに絶滅を示すものではないが、越冬する場所が限られる産地なので、ほぼ確実に見られる場所を毎年確認していたのだ。アオホソゴミムシをスギから確認。ある程度確実に確認できるのだが、酒田の最上川などと違い、内陸では個体密度が非常に低いように感じる。次にここでオサムシを探すことができるのは、4月以降だろう。いよいよ、長い冬を迎える。




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