菅平の草原 | 世界のブナの森

菅平の草原

草原の昆虫の調査が不十分で、どうしても気にかかっていた北信菅平に夜行日帰り。私自身はここに行くのは1997年9月以来、26年ぶり。

 


当時は24歳で山形に来る前年のこと。国内で記録が途絶えていたアカハネバッタを探しに行ったが、「マツ林にいる」という噂を聞いていた程度でどこを探せばよいのかもよくわかっておらず、友人らがミヤマダイコクコガネを採りに通っていた牧場の入口を少し歩いただけで帰った記憶がある。
当時の私はブナ林に夢中で、草原を歩くのは行き帰りのついでにすぎなかった。1997年ならば草原環境の断片が今よりもずっと残っていたはずだが、当時は牧場の入口付近しか歩いておらず、私自身の視点があまりに未熟だった。

 


今の視点では、それぞれの場所で過去何年ぐらいにわたって放牧と草刈りが途絶え、遷移がどのように進んだのかがありありと分かる。26年前にせめて同じ場所を歩いていれば、この数倍の花が咲いていただろうとも思うが、当時は航空写真を見ることも難しく、二万五千分の一の地形図の破線だけを頼りに歩いていたのだった。

 


すでに半自然草原はあまりに断片化が進んでおり、広がってしまったササ原の脇にマツムシソウやアキノキリンソウが咲いているのが精いっぱいだった。
9月7日、長野県真田町