私には、かなり長い付き合いの友人が一人いる。
小学校の頃に知り合い、引越しや進学や就職、その他諸々、色んな事情で空白の期間はあったが、その期間を除いても三十年以上の付き合いがあり、今でも友人である。
多分お互いがお互いにとって俗にいうところの「親友」という存在なんだと思う。
お互い主婦になり母になった今は、昔のように頻繁には連絡を取り合うことが難しいが、いい大人同士なのでお互いの立場も理解しているし、普通の状態の時は頻繁に連絡しようとも思わないが、会った時はもちろん、たまにかける電話の時も何かしらの話題で盛り上がる、そんな関係。
さて、うちの小六の息子、四年生になったあたりから友達関係が少し変化した。
息子には、一年生で同じクラスになって以来、クラスが離れても仲良くしていた友達がいた。
しかし、三年生の後半あたりから、その子に対しての愚痴を頻繁に言うようになった。
しょっちゅうちょっかい出してくるし、色んなことに対してしつこい、上から目線で馬鹿にしたような話し方をする、自分の都合ばっかりこっちに押し付けてきてこっちのことは考えてくれへん自分勝手やからしんどい、と。
その子は確かに良くも悪くもグイグイくる子なので、しんどいんだろうなと同情もするが、いかんせん見たわけではないので同調までは出来ず、息子も息子で「言えばスッキリする」らしいので、「小学生もなかなか大変やねぇ」と言うくらいにとどめておいた。
それから半年ほどして息子の話に出てくる子が変わり始め、約束してくる子、誘いに来る子が完全に変わった。
以前から仲良しだった子とはそのまま同じクラスになったが、色々あって今までずっと仲良くしていた子(愚痴の対象の子)が本当に苦手になり、その子とは今年も同じクラスになったが、新しく同じクラスになった子(今現在仲よしの子)と仲良くなり、その子と元々仲良くしていた子たちとも仲良くなったらしい。
今仲良くしている子たちとは話も合うから楽しいし、何より、誘われても無理な日や疲れてしんどい日はしつこくされることなく「わかった、ほなまた遊ぼうな」で終わるのが楽なんだそう。
それに伴って今まで仲良くしていた子が更にしつこく絡んでくるようになったらしいが、新しい友達と遊ぶことによって気も紛れるのもあり、息子なりに頑張ってかわしていたようでもあり、愚痴は出るが前よりは少しマシになったような感じだった。
が、五年生になり、またもやその子と同じクラスになり、更に更にしつこく絡んでくるようになったらしく、ある日学校から帰ってきて開口一番
「なんべんも嫌やって、やめてって言ってんのにやめへんし理由言ってもハイハイって感じでこっちが悪いみたいな態度されるし強く言ったら逆ギレするか泣くねん!泣かれたらこっちが悪者なって怒られる!ほんまにこっちからは何にもしてないのに!あかんのはわかってるけど腹たちまくってやり返したらその時はやめたけど、すぐまた同じことしてくる!先生の前では絶対にしてけえへんから先生に言ってもわかってもらえんからお互いさまみたいな感じで済まされる!次やられたら泣くくらいやり返したい!あかんのはわかってるからそんなことはせえへんけど、もうほんま無理!学校行くのしんどい!」
と言い出した。
さて、どう出るべきか。
親になってわずか十年ほどの未熟な頭を使って考えた結果、連絡帳に「息子が相談したいと言ってるので申し訳ないが時間をとってやってほしい」という内容を丁寧な文章で書き、息子に「嘘をついるとは思ってないが、実際にされてるところを見てないし、おかーさんが先生に話すよりも、まずは自分で話した方がいいと思う。先生にあんたの話を聞いてもらう時間とってもらうように頼んだから、どうせって思わずにまずは自分で先生に話してみなさい。それはあんたが頑張るところやと思う。それでもまだ困った状態のままやったり納得いかんかったら話して。んで、また一緒に方法考えよ。」と言って学校に送り出した。
結果として、相手はしたことを認めて謝り、息子はやり返したことについて謝り、一応の決着は付いた。
しかし、現実はそう簡単ではない。
人の性格というのはそう簡単に変わるものでもない。
半月もしないうちに再び同じ状態に戻ったらしい。
そして六年生の今、再びその子と同じクラス。
始業式の日、ため息まじりに帰っていた息子。
「最悪…」と。
今仲良しの子たち数人とも同じクラスだったのでそれが救いだったが、さすがに私も、なんでまた同じやねん…離したってえや…と思った。
そして六年生になって数日後。
「また今日も休み時間に寄ってきて色々してくるからな、もうしんどくてな、何も言わんようにしてん。何も言わんと手を払いのけるだけにしてん。それでも何回もしつこくやってきたけど、ずっと払いのけるだけにしてたらため息ついてどっか行ったわ。ため息つかれてはらたったけど、もうめんどくさいから何も言わんかった。」
と。
それから二~三日に一回は
「今日もな…」
と。
昨日も
「今日もな…」
と。
ふと思う。
嫌なことされる。
嫌だと言う。
やめてと言う。
それでもまだやってくる。
ずっとしつこくやってくる。
全部大人の見ていないところで。
怒ると逆ギレする。
もしくは泣く。
泣かれると自分が悪者にされて怒られる。
大人に聞いてもらって、やっと相手が謝る。
自分も悪いところがあったので謝る。
それで終わりではなかった。
まだしつこい。
だから一緒にいたくない。
だから遊びたくない。
他の子と仲良くなる。
更にしつこく絡まれる。
離れたいのに一緒にされる。
相手にはずっと伝えてきた。
それでもずっと絡まれる。
だからもう相手にしない。
必要最低限の付き合いはする。
理不尽な無視もしない。
でも相手にはしない。
こんなん大人でもしんどいよな、と。
大人になってもこんなめんどくさい奴いる。
だからこそ人づきあいの勉強なんかもしれんけど、これはしんどいわ。
大人はしんどくてもある程度の経験値があるから何とかいなせる。
子供は経験値が低いからめっちゃしんどいやん。
大人でもこんなんしんどいと思うから。
息子、あんたえらいよ。
