スペシャルチームはその名の通り、専門職のアメフトの特別な仕事を果たします。
攻守の選手・先発や控えという枠組み、関係なく入り乱れて仕事をこなします。
その中心的なプレーとなるのは、キッキングです。
今回は、そのキッキングゲームの主人公となる、K(キッカー)とP(パンター)を紹介したいと思います!
スペシャルチーム編
K(キッカー) と P(パンター)
アイシールド21では、泥門の「60ヤードマグナム」ムサシ(#11)と、盤戸スパイダーズの「スマートだぜ!」な佐々木コータロー(#99)が群を抜いてるキッキングの主役たちですね。
特に泥門vs盤戸が描かれた18巻と19巻はオススメです!
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さて、ではまずは K (キッカー) の紹介からです。
Kを簡単に紹介するならば、「敵陣のゴールポストの間にボールを蹴りこんで得点する役割」となります。
ようはキックで点をとれるのがKです。
まぁこの辺はアイシールドを読んで頂ければ(それこそ先ほど紹介した18・19巻なんかを読んで頂ければ)すぐ分かると思うので、あんまり長々話すよりもそちらを参照して頂けたらなと思います。
↑アメフトの「ゴールポスト」はこんな感じ。
(Free素材・http://sports-illustration.com/information/list.html)
バーとバーの間、もしくはその
延長線上の空間の間に入ればキック成功。で、実際にはKが点をとるために登場するシーンは、2パターンあります。
まずは、FG(フィールドゴール)キックを蹴る場面。
これは、試合の流れの中で、「TD(タッチダウン)をとるまではなかなか進めないしちょっと攻撃を持続させる自信も無いんだけれど、キックだったら入れれそうな距離!」「試合の流れを考えたらここで無理はしないでキックの3点を積み上げたい」とコーチが判断した時や、「あと3点あれば同点」あるいは「あと3点で逆転!」という時などにトライします。
実際の映像がこちら↓
このように、成功すれば3点を加点することができます!!
しかし、↓のように失敗してしまえば…
当然加点はできませんがそれだけでなく、そこから相手の攻撃になってしまいます。
接戦であればあるほど、このキックの点の重みがでてきますので重要です。
ちなみに、ムサシがトライした「60ヤード」のFG
(アイシールド21:第34巻303話
「THE LAST of DEMON DEVIL BATS」)
を決める難しさ等はブログ「JETS狂の宴」さんで取り上げて下さっているので、そちらをご参照下さい!
→『「60ヤードマグナム」の飛距離とは?[2013/12/10:改訂]』
http://jets94.com/2013/12/198.html
そして、もう一つのパターンはTFP(トライフォーポイント)のキックを蹴る場面。
TD(タッチダウン)で6点をとった後にそのチームはTFPというボーナスゲームをやる権利が与えられます。
そして、キックなら +1点、「2ptコンバージョン」としてプレーをやってTDがとれたら +2点が貰えるというボーナスゲームなのです。
キックを選ぶか2ptコンバージョンを狙うかはそのチーム次第。
状況に応じて、主にそのチームのHC(ヘッドコーチ)・監督が選択します。
「2ptコンバージョン」は強気なチームや負けているシチュエーションではトライするでしょうが、ほとんどのTFPではキックが選択されます。
なぜなら、TFPのキックはかなりゴールポストに近い位置から蹴れるので成功率がめちゃくちゃ高くて、確実に、しかも安全に1点を追加できるからです。
ただ逆に言えば、このようなTFPのキックや短い距離でのFGトライは「決めて当たり前」みたいなものなので、技術的には楽でも精神的なプレッシャーは重くのしかかりますね。
キッカーはこういうメンタル的な難しさがあります。
余談ですが、「アメリカの子どもたちが一番やりたくないポジションはキッカーだ」という話を聞いたことがあります。
理由は、「目立たないし、キックは決まって当たり前だと思われてて得しないから」「1本でも外したらチームでの立場が無くなる場合があるから」だそうで、もっともだなと思いました。
米国のプロ、NFLのレベルだとKは1本外すだけでもクビになってしまう時があります。
それだけ「キックは決まって当たり前」みたいに思われていて、本当に得しないポジションだなぁと思いますし、1回1回のキックのトライに職や人生がかかっているという、そのプレッシャーはハンパないんだろうなと思いました。
さて、では次に P (パンター) の紹介です!
Pというのは文字通り「パントをする人(=パントキックを蹴る人)」です。
じゃあその「パント」って何?ということを中心に話していきます。
パントというのは、簡単に言えば「攻撃権を放棄する代わりに陣地を回復すること」。
より細かく言うと、攻撃が上手くいかず4回中3回の攻撃では1stダウンを更新できなかった(つまり4thダウンになってしまった)時、かつ4回目の攻撃をトライしても1stダウンが更新できなさそうだし、FGキックも届きそうにない、という場合一般的には「パント」を選択します。
↓の映像がパントのプレー。
このように、Pが直接ボールを受け取って、敵陣深くに蹴りこむことで次の相手の攻撃をより遠いところからはじめさせることができるので、守備が守りやすくなるということです。
攻撃権を放棄して行うプレーなのでもったいなく感じるかもしれませんが、長いアメフトの試合においてはこの陣取り合戦の駆け引きも重要。
アイシールド21:第18巻159話
「赤羽隼人&佐々木コータロー」
の冒頭では、コータローとムサシが素晴らしいパントの蹴りあいを見せています。
このシーンからもパントの凄さ、重要性が見えてくるのではないでしょうか。
特にコータローのような「コントロールパント」でより敵陣のキワキワまで相手を押し込むこと、ムサシのような「飛距離が出てパワーのあるパント」で一気に陣地を回復すること、これらは現実のアメフトにおいても大切な要素となります。
また、飛距離だけでなく滞空時間(ハングタイム)の長いパントを蹴ることで味方の選手がより早くボールや相手のリターナーのところまで到達することができるので、滞空時間の長いパントを蹴ることも大切です。
(リターナーに関しては次回特集します)
まとめると、
Kは点をとるキック担当
Pは陣地回復のキック担当
となります。
もちろんKとPを兼任するケースも多くありますが、フットボールのレベルが高くなるにつれてそれぞれ専任となることが多いです。
また、試合開始時・どちらかのチームが得点をとった後
に行われる「キックオフ」を担当する選手はKでもPでも誰がやってもいいので、チームの中でよりキックオフを蹴るのがうまい選手がやっています。
(キックオフは↓こんな感じ)
アイシールド21でもけっこうキッキングは丁寧に描かれているので分かりやすいし、一度アメフトの試合を観て頂いて、キッキングゲームが試合をどう変えているのかに注目してもらえれば楽しめると思います!
(特にパントに関しては地味だけど、気付かない内に試合を左右していることも多いのではないかと思います!)
★おまけ★
NFL記録の64ヤードFG成功映像
Matt Prater 64 Yard Field Goal