Theme"Bar AVALANCHE”
千葉県の
東京湾を望むリゾートゾーンにあるホテル群。
その中の一軒の最上階にあるバー”Avalanche"。
私が暇に任せて通っているのは
こんな馬鹿がいるのだと思うと
安心できるからなんです。
さ、着きましたよ。
くれぐれも
オヤジのくだらない会話には
耳を貸さないほうがいいですよ。
オヤジが伝染るかもしれませんから・・・
よくピーター・オスカーソンといい間違えます。
正しくは、オスカー・ピーターソンです。
T:ところでさぁ。お前どうして留学したの?
M:オリビア・ニュートン・ジョンとファラ・フォーセットに
会いたくてさ、長期で滞在する理由が必要だったから。
T:真面目にだよ。
M:結構、真面目に・・・。
でも一番の理由はさ、俺ら内進だったじゃん。
それでさ、しょっぱなの英語のクラスで外部のやつに
『お前ら内進は苦労を知らない』って言われてさ・・
T:ああ、若いうちの苦労は買ってでもしろってやつ?
M:ちょっと違うかな。
たぶんそいつの見方が世間の目だろうなって思った。
だから、ただ卒業するだけじゃ弱い、、ってね。
T:なるほど。
M:その次が、オリビアとファラに会いたくてかな・・・
T:そこは変わらんのか。
M:変わらんって、そこが動機として大事でしょ。
その次がアメフト見たさかな。
T:親にはいつ言った?
M:う~ん・・・三年の春頃だったな。
まず、三年の夏休みにホームステイ1ヶ月してさ
それとなく免疫作ったよ。
T:そういうとこだけは戦略的だな。
ほかは行き当たりばったりのくせにさ。
M:まあね。クォーターバックですから。
T:金はどうした?
M:ああ、宅通だし一年の時から実入りのいいバイトしてたから
月10万位づつ貯めてたんだよ。
そんで、卒業の時にはだいたい400万チョビチョビくらいになった。
基本はそれ。
T:ああ、例の家庭教師か。
M:そう、あれがなかったら無理だったな。
奨学金なんか手がとどかねぇ~しさ。
あとは、留学先で不法就労?っていうか
学外のバイトだな。
やっぱ、お金のめどが立たないと
きびしいよなぁ~。
T:そうだろうね。
M:でも、親も助けてくれたよ。なんだかんだすっかり迷惑かけた。
お前んちはいいよな。ボンボンだからさ。
T:まあね。俺は全部親掛かりだった。
M:お前の親父さん、厳しそうで甘いもんなぁ~。
T:まあ、ほら、事業展開の国際化を目論んでたわけだし
帰ったら地獄の試験勉強が待ってるから・・
いろいろな意味で持ちつ持たれつって感じ?
M:お前、ほとんど持ってもらいっぱなしジャン
T:まあね。でも、ちゃんと試験には予定期間で合格したしさ。
なかなかなもんですよ。
M:自分で言うなよ。
お前、語学留学のくせにバイトもしねぇ~でさ。
ほんと、ボンボンはいいよなぁ・・・
T:羨ましいか?ざまあ見ろ。
M:羨ましくねぇから、ざまあ見ない!
T:ボンボンさかげんだったら
圧倒的にケーイチか、サイゴーさんだろ。
M:ああ、別格だったな。
ダイナース・ケーイチと
タレンタイン・サイゴーな。
よく寿司ゴチになったよな。
T:そうそう。ダイナースのカードなんて初めて見たぞ。
レコードのコレクションはさ、単位が枚じゃなくてメートルでな。
いま何メートルくらい持ってるだって。
地方の超優良企業の御曹司と歯医者のせがれだろ?
とにかく大金持ちだったな。
でもさ、やっぱアラブのオイルダラーは桁違いだったよな。
M:ありゃもう、別格超えて天上人だったよ。
だって、みんながみんなフルサイズのキャデラックだもんな。
T:そうそう。それもぜ~んぶレザートップでな。
そんで、高そうなスーツ着て、ダイヤの入った指輪とネックレスしてるの。
マッキンキンのキンキラキン。
そんな学生いていいのかってな!
M:なんで、ああもデカイ車が好きなんだろう?
T:やっぱ、アメ車ってばキャデラックだったんだろうね。
きっとさ、自分の国じゃすっげー高かったんじゃないのかね。
ほんでアメリカ来て見てみたら、まぁ~お安い!みたいなさ。
M:ああ、それあるかもな。
とにかく、金回りが半端なかったなぁ~。
クルーザー持ってるやつだっていたし。
こっちゃ、サーフボード買うのにヒーコラ言ってたのにさ。
T:そうだよ、住むとこだってあいつらアパートじゃなくて
コンドでもなく一軒家だったからな。
それもビーチフロントのお洒落なとこ。
M:いいなぁ~。。俺も油田ほしかったなぁ~。。。
T:そんじゃ、どっかの山か海で辺りかまわず掘りまくれ。
間違って温泉くらいは出るかもしんねーぞ。
M:この際、出て来るならなんでもいい。
T:掘って掘って、遊びたいとか休みたいとか思ったら
そん時ゃ、死ねってテツヤのカーちゃんがいってたぞ。
M:結構過激なカーちゃんだよな。
それでは、素敵な夜をお過ごしください。