私がとっている講義、現代生活論の期末レポート提出日が来週に迫っていた。まだ一文字も書いていないのに。

 ちなみに提出されたのは一月以上前のことだ。自業自得である。

 

 過去の自分を憎んでも問題は解決しないので、仕方なく今日は早めに登校し、図書館でレポートに使えそうな図書を探した。

 レポートの内容が何かしらのコンテンツから現代社会を紐解け、という感じのものだったからだ。

 このコンテンツはアニメだろうと映画だろうとなんでも良いのだがそれらにはあまり馴染みが無いため既に読んだことのある本から選ぼうと思った。

 書くテーマが全く思い浮かばないまま入ったものの、たまたま目にしたおすすめ図書の本棚に飾られていた「モモ」が目に入った。

書くテーマが決まった。

 「モモ」とはご存じな人も多いだろうが幼い少女と時間泥棒のやつである。

 児童文学であり、子供でも読める分かりやすさであるのに、現代から近未来まで及ぶ社会問題を描き出した名作だ。

 今回のレポート課題である、作品と現代社会の結びつけは私にとって非常に不得意な思考の一つでだった。ろくに考察することなくほへーと見ているので裏に込められたテーマとか聞かれても困るのだ。

 しかし「モモ」であればむしろ現代社会の様相から得た作者の危機感が分かりやすく中心に据えてあり、わざわざ紐解かなくとも、私たちの生活に結びつけやすい。

 主人公「モモ」の敵役である存在に時間泥棒というそのままの名前をつけているくらいだ。さらに深い考察……となると厳しくなってくるが作者がうったえたいテーマは幼い子供でも明白に理解できるだろう。

 

 面倒なことに、レポートの条件にはそのコンテンツを見た後に問いを設定して自分なりの答えを用意し、さらにはその答えを補強するために社会学の文献などを用いよ、とあった。

 あくまで論文の体を成せ、感想文で終わらせるな問いことなのだろうが、論文経験がカケラも無い身としては相当ハードルが高い。

 しかし、「モモ」からテーマを得た途端、どの文献を使用するかという問題は解決した。これは私が普段から知識人系YouTuberを見ていた功績なのだが、彼が本を紹介している動画の一つとして「映画を早送りで見る人たち」というタイトルの本がある。動画を見たのであらすじもざっと知っているのだが、時間短縮のために、映画、ドラマ、アニメなどの映像作品を倍速視聴する人々について語られている本である。

 「モモ」のテーマは明らかに「時間」であって、「映画を早送りで見る人たち」に載っている内容は「モモ」の作者が憂えた未来そのものであるように思った。

 これまで自分がただ娯楽の一つとして読んだり身につけた知識が今の自分の役に立つのは中々嬉しいことであると知った。