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普通の女の子になりたくなってしまった。

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 あの人の、うわさが流れます。あの人と、あの子は、好きあっているに違いないという噂です。そのひとの幸せを思えばうまくいってほしい、と心から思います。これはほんとうです。しかし、そうは言ってもつらい気持ちが一切ないのとは違います。なんだかんだ言い訳をしても、自分ではないのか、という落胆に沈みます。結局は、あの人と自分のハッピーエンドを描いてしまうのでした。
 でもわたしは、やはり、その人が幸せになるのなら全力で応援したいと、思っています。
 好きな人の言ったことはなんでも覚えています。わたしに関して言ってくれたならなお覚えています。そのひとは酔った勢いで気持ちが浮上して言ったのかもしれません。でもわたしにはそれで十分でした。その髪型可愛いね、お気に入り。と言われただけでした。うれしくて、そっけなく礼を返しただけでした。ほんとうに、そのとき私の顔が赤かったのが、暗闇でわからなくてよかった、と思うなんて、漫画の世界だけだと思っていました。

「かわいい。いいよね。僕の一番のお気に入りですよ。おきにいり。ふぁぼ、ふぁぼ。」
 よく気の付くひとですから、女性の身の周りの変化にはいつだって真っ先に気づくのです。別に私が特別なわけでもない、と言い聞かせます。そのひとに褒められたからではないとも、思います。なんでもわたしは照れやすいので、これが決定的な恋とはまだ言えないと思っています。しかし三日たったいまもしっかりと覚えて、まさにいま、その髪型を続けているのだから、何とも言えないような気もします。

 片思いなら自分ひとり黙っていればいつまでも幸せなんだと思いました。
 進展もしなければ後転もない。とあるきっかけ(飲み会でした)があって自分の気持ちを見つめなおしてみたのですが、一日ずっと考えてみると、むしろ他人事のように思えてきます。一方で、失恋をしたような気持になりました。
 わたしはポルノグラフィティが大好きなのですが、二百曲というなかで、ラインという曲があります。これほどまでに、この歌詞に共感できる日がくると、はと驚くほどでした。
 切ない学生の恋のようでした。これは、フィクションで、なんの助けにもならないと分かってはいるのですが、結局は身を引いた僕、のことを考えると、わたしもそうなるのかと思いました。臆病なままで、気持ちは隠したまま。この恋ごころはずっと秘めたままにするのでしょう。
 ほんとうに、そのほうが良いような気がしてくるのです。
 好きな人に会えて、その人の笑顔を見るだけで、わたしには十分なような気がしてくるのです。これ以上は出過ぎた真似なのだと、思えてきます。

ポルノグラフィティさん『ライン』の歌詞
生まれてはじめて、このひとのことを好きかもしれないと思う男の人がいます。
初恋は叶わないと言います。
実際、それがいわゆる恋愛感情というものなのかどうか怪しいものがあります。
その人は、すべてを笑って許してくれるような優しいひとで、そのせいで受け止めすぎて一人で苦しんでいるときがあります。それを、一人にしてはいけないと思うのです。
誰かが、支えてあげなければいけないと思ったのです。
それは私でよければ、わたしで力になれるなら、助けてあげたいと思うのですか、どうしても、わたしでなくてもその役目は勤まる・むしろわたしでないほうがいいのではという考えが遮ってしまいます。
何度も、恋人をつくって、癒されたほうが良いですよ、と言いました。
わたしのこころのどこかでは、やましい部分もあったような気もします。
優しい彼に、笑いかけてもらえるなら、ほんとうに心があったまるのです。年上の男性ですから、ただ憧れのような気もします。父親を前にしたときの、安心感や、緊張感なのかもしれません。
彼の隣にいたいと思う反面、彼の隣には彼に相応しいひとがいてほしいと思うのです。
わたしには、自信がないので、これを恋とは認めたくない気持ちもあるのだと思います。惨めな思いをするのは、表立っていなくていい。こっそり泣いていたいのです。これはプライドです。恋がなければ失恋もない。どちらも味わったことのない私は、途方に暮れています。