あらすじ  目次

 前を読む


『本公演6』

美穂ちゃんが「コーヒーが人ったからみなさん一服して!」と呼んだ。

 土蔵のもう一つの部屋の教授の書庫になっている部屋に集められた。

徹臭い(かびくさい)部屋で、

所狭しと古今東西の美術書が積み上げ、

 やっと六畳くらいのスペースを確保している。


 それから野田のオッちゃんの前、勤めてた。

新日本舞台美術からレンタルした。

六畳半ぐらいのプレハブ小屋が架設してある、

部屋を楽屋として使っていた。


 そこまで不便な思いをしてまで、

なおかつ手間をかけて準備をするのは

杜の風に所属している教育大の心理学教授の神室先生の思惑もあるらしく。


 このところ仙台の演劇状況はパフォーマー演劇などの

新しい傾向の劇団が主流で、

杜の風みたいなリアリズム演劇は若者に人気がなく、

スタジオ公演に力を入れているIQ超低能などの劇団が人気を集めているそうで

杜の風と様々な交流のあった実験劇場に所属していた

野田のオッ ちゃんが、そういうこともあって演出として選ぱれたのだ。


 神室先生の魂胆としてはこの土蔵公演を成功させて

ここを杜の風の常設小屋にしたい思惑もあるのだ。

 テーブルにはインスタントでない本格的なコーヒとケーキがあった。

全員は入り切れないので、スタッフが架設のプレハブ小屋にと

役者が書庫に分けられた。


美穂ちゃんが 「このケーキとコーヒーは朴(パク)さんの差し入れです。

朴さんに合ったらお礼を言ってくださいね。

それじゃ演出からの二~三の注意があるそうです」 

野田のオッちゃんが□のへりにケーキのクリ~ムをつけたまんま

「べつに、今さら注意はないんだけど、

とにかく今日は思い切り楽しんでやってください、

悪乗りしたってかまわないです。ただし芝居を壊さない程度にね」


川野さんが「どこに、そすたな難すい(むずかしい)こと出来って」と抗議したが

 「大丈夫Iベテランの川野さんなら出来るでしよう」と

野田のオッちゃんは川野さんの肩を叩いて「じゃ頑張ってください」と言って。


 野田のオッちゃんはクリームをつけたまま隣のスタッフの控え室に行った。

~美穂ちゃんが僕たちに 

「それじゃ役者さんメイクを始めてください」と指示した。 

僕たちのメイクをしてくれるのは都花ちゃんだ、チカもやってもらう。

チカと都花ちゃんの会話は聞いていると、

どこかの外国の人か異星人の会話に聞こえる


チカ・ジェスチャーで「かっわいっくおっねしょまんま」

都花・「マヅカッオアラッテ」…自分の発声訓練した声で・・・

チカ・ジェスチャアで 「かっおあっらの~」

 「ウッン」耳が聞こえなくても声帯が健常な都花ちゃんは

聾学校で発声訓練をうけているので何を言ってるかわかる。

だから都花ちゃんは手話のわからない人には、

自分が伝えたいことは自分の発声で言葉をくぎってなんとか伝え、

相手からはジェスチヤ~や筆談で伝えてもらう。

それから唇読術(こうしんじゅつ)で、唇の動きで相手の会話を知る。


ただしチカの場合、

言語障害で正しい口の開け方をしないので読み取ることが不可能なのだ。


 美穂ちゃんが 「さあ本番です。スタンバイお願いします。」と指示し。

 僕たちはぞろぞろと上手袖に集合した。もうふざけ合う余裕がある

バッカスさんが僕とチカにミッキ~の髭をつけオドケて見せた。 ・・・続く


少しでも心が動きましたらクリック応援お願いします!!

トップへ戻る