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宇宙へ

   21世紀の銀河鉄道

『涙を越えて行こう1』


西暦二〇〇X年一月七日、

育美ちゃんは研二さんの葬儀に出席する為、

お母さんと仙台を八時頃に出る新幹線、下り盛岡行に乗り込んだ。

 花巻には九時頃ついた。


葬儀に出席した後、

お父さんのいる花巻マイクロ電子の社宅に行くのが、気が重かった。

 こうやって別居しているのは、

育美ちゃんのことでお母さんとお父さんが喧嘩したからだ。

工場の開発部門にいるお父さんは


毎日、夜遅くまで試作品作りやテストで帰るのが遅く。 

おまけに日曜まで仕事に出る時もある。

たまの休みはパチンコしたり水沢に競馬をやりに行ったりで…。


 何度もお母さんが育美ちゃんのことを

相談を持ちかけても真剣に聞こうとしない、それで夫婦の聞に亀裂が人った…。 (会ったって形だけの挨拶をかわし、お互いの悩みなんか聞こうとしない~私だってお母さんだって、お父さんの悩みを聞こうとしなかったじゃない。ああ~嫌だな!)

 そんなふうに育美ちゃんは考えていた。


 向かいのホームで風船をいっぱいもった

男の子や花束を抱えた女の子が立っていて、

羅須地人(らすちじん)音楽隊という猫・蛙・狸の格好をした人がセロやバイオリン・オーボエの楽器を抱え演奏して~

横断幕には『イーハートヴ号行ってらしゃい』と書かれていて。


 育美ちゃんは目を擦った。

その人ごみの中に研二さんを見つけたからだ。

人違いということあるけど…?

 研二さんのお父さんお母さんもいる、

お母さんに車椅子を押してもらっている。

ウソー研二さんは生きているの?

育美ちゃんは思わず・:「ねえお母さん研二さんは生きているよ!」

 お母さんはもうそんなことは知ってると言わんぱかりに 


「バカだね育美!今日は研二さんとお前の新婚旅行の日じゃないか」

そう言ってお母さんはハンカチで涙を拭いた。

 育美ちゃんは狐に化かされたようだった。…

(でもいいわ…例えこれが幻でも)

育美ちゃんは声がつぶれんばかりに。

  「研二さん!」 「研二さん!」 「研二さん!」と叫んだ!---続く  

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