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『無限銀河鉄道8』


二〇〇〇年12月(日) そんなこんなで僕達はプレ公演当日を迎えた。

プレ公演、映画の試写会のようなものだ

一般客はこないが、新聞社から新聞記者、

地元新聞社はゆうに及ばず全国紙の支社からもくる。

 地元の演劇関係の有識者や地元各テレビ局の

夕方のニュース番組からも取材にくる。

それからいろんな団体からも代表者が観劇に来る。

この公演の成功の是非によってこれからのチケットの売り上げにも響く。

全スタッフ、役者は緊張する。


TV取材

 美穂ちゃんは僕達に緊張を解くためと体の柔軟性のため柔軟体操と

発声練習を何度もさせた。

 バッカスさんがそれを見て「美穂ちゃんあんまりすると疲れるぜ」 と言って


僕達に緊張を解く為、コント風のパントマイムを演じて見せた。

スタッフも役者もそれをみて大笑いした。

 バッカスさんの子供みたいな体は出てきただけで


パントマイム

観客の頬を微笑(なご)ませる不思議なパワーをもっている。

「今はこんな体に生まれてきたことを後悔してない」とバッカスさんは言っていたが、僕だってチカだって他人からみれぱ変な喋りかたや仕種は、

とうてい健常者が真似できない僕達の隠された才能なんだ。

 それを野田のオッちゃんやバッカスさんやいろんな人が引き出してくれた。

(僕はやるぞ!)


 <チカ> 私は胸がドキドキで張り裂けそうだ。

将門さんが…  「落ち着けや」と言って、

私に缶コーヒを手渡した。

そう言う将門さんもさっきから落ち着かない。


缶珈琲

やたらと喋りまくっている。

 それを見てボーロさんが「おい将門!ウルせいぞ」と注意した。

千鳥屋さんが「あんまりウルサイと焼き入れるよ」と脅かした。


 新しくベースに加わった。

ブナの木作業所に通う自閉症の哲也君が独り黙々とギターのチューニングしている。回りのことをあんまり気にかけないのが自閉症の特徴らしい。

そんな哲也君を見てボーロさんが将門さんに、

 

「見ろ!てっちゃんなんてマイペースだぜ将門も見習え!」 

美穂ちゃんが「みんなにさあ本番です。みんな集まって」と言った。

いよいよ本番を前にして、野田さんが

「これまでの稽古でみなさんの実力は確認された訳だから。

 ここで稽古以上のことをやろうなどと独りよがりな冒険はしないでください。   ゛ 


それが大きな失敗につながります。芝居はシンフォニーです。

1人が失敗すると連鎖反応的に失敗が続き、

芝居がメチャクチャになってしまいます。


一つ一つ確認して漏れのないようにしてください。

それはスタッフも同じです。さあ頑張ってください」


 美穂ちゃんが「さあそれではみなさんスタンバイお願いします」と指示し、 

その合図で僕達は下手袖にスタンバイした。

ロボコップと北条のオッちゃんが小道具を点検している。

 一枝ちゃんが衣装の点検を縫製科の女の子に命じた。


 将門さんが手首の体操をやたらしている。

ボーロさんがそれを見て小声で「将門そんなことやってる暇はねぇぜ。

そろそろ本番だぜ」


本番です

 インカム をつけた。

美穂ちゃんが台本を丸めて僕らに向かって。「さあ!本番です」と指示し

、舞台監督の杜の風の沼辺さんという人が

「はい!音楽スタート」と指示をだした---続く  

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