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『影響6』

~僕と野田のオッちゃんは廊下でダークグレイの絨毯(じゅうたん)を見つめていた。~野田のオッちゃんが

「くそ!プレステの野郎!負けネェぞ!」と言うと、

バタンーとドアをこじ開けた。またもやプレステが叫んだ!

「オメェなんか嫌(スカ)ネェ!オメェなんか見たくない!」と叫ばれたが


構わず、野田のオッちゃんはズカズカと人っていった。

 「佐伯先生は、日本でも指折りの溶接の名人だそうですね。

原発の配管などを、溶接する優秀な職人を育てたそうですね」


そして胸からなんかの免許証を出すと 

「この通り、私も一番初歩の電気溶接の下向き基本級の免許をもっているんです。もっとも工業高校で、習得したんですが


卒業するとすぐに鶴見の造船所に人ったのですが、

船底の溶接というより

ビード(溶接部の盛り上がり)をハンマーで均(なら)すことをさせられ、

耳栓をしていたのですが頭が痛くなるほどの音と、

暑すぎる船底の温度に耐え切れずたった三ヵ月で職場を辞めました」 


電気溶接作業/実際・作者は下向き基本級の資格があります。
「ふん、情けない奴だ、

俺なんか戦車の特殊鋼の溶接をさせたら右にでる奴はいねぇんだぞ」 

「そうですね軟鋼と違って、

焼きなました鋼板の溶接は難しいですからね」

プレステはハハーン卵だなという顔になり

「というより焼きなました鋼(はがね)は

どうやって溶接するのか知りませんでしたからね」

を!オレの得意分野だぞと段々誇らしげ顔になり


「ステンレスだと冷やし冷やし膨張力を調整しながら

溶接するのは知っているのですが」 その後二人は話が合って、

難しい専門用語で会話していたので、チンプンカンプンだった。

金属疲労がどうしただの…スラグがどうこうのだの~

 野田のオッちゃんは終始、先生~先生といってプレステを煽(おだ)てた。

 おかげでプレステも少しは元気を取り戻したようだった。


しかし人間なんて弱いものだと思った。

部屋を出ると野田のオッちゃんは 

「フーああ疲れた、年をとっても、ああいった老人にはなりたくないな」

とため息をついた。

チカは半分泣きべそをかいていた。


僕ら三人はもうなんにも喋りたくなかった。

やがて伊豆野のオッちゃんが迎えに来た。 

縄文人の家はホームと反対の川むこうにあった。


車の中で野田のオッちゃんは

「伊豆野さん縄文人のところに、ビールなんかあんの」 

「バカこけ縄文時代にビールなんか、あるわけあんめ、

あったとしてもドブロクくれぃだ!」 

「おいおいやめてくれ!さんざんプレステで神経つかったんだぞ!」

「お疲れ様~!」


「ビールくらい飲ませろ!」チカもポツリと…

 「わったっし鳥の空あげとコーラ飲ったい」


野田のオッちゃんが 「今日はなんかチ力がはっきり喋る日だな、よっぽどチカも疲れたんだべ~お疲れさんよしよし」と言いチカの肩を揉んだ。 


「でもあの先生ゴミ出る物を持って行くと怒るからな~!」

「そこを伊豆野さんよろしく!」

「まあ先生だって事情を説明すればわかっぺ」と伊豆野のオッちゃんはそう言って。 酒も売っているスーパに寄ってくれた。


 結局、そこでビール、コーラと僕がワインと言ったので

ワインと空揚げとサラミを買った。 

伊豆野のオッちゃんは日本酒を買って。縄文人の家に向かった。

--- 次に続く


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