一章までのあらすじ

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<バッカスさんと朝まで3>


 バッカスさんが十九才の八月の第一日曜に、新宿の町に遊びに行って

ブラついていると、長い`髪の毛を赤いバンダナで結わえた

顎髭の叔父さんに呼び止められ。

 

yokoo

  前衛芝居のポスター

「芝居やってみる気はないか」って誘われて~。

 どうせ如何(いかが)わしいケレン(仕掛け見せ物)芝居だと思ったけど。

 九州にいたとき、旅回りの劇団の中にバッカスさんみたいな、

小人症の役者がいたことを思い出し。


 その時、もう役者になることを決意してたそうだ。 

それでその叔父さんの跡をついていって。

その劇団の芝居を見たら想像していたより魂を揺さぶられて…。 


 劇団に入ったバッカスさんは性格俳優として、

主に奇形の世の中の余され者の役などで、

自分の過去とダブラせて、バッカスさんでしかできない役者人生を送った、そうだ。 


僕が「それほど日蔭者じゃないジャン」と言ったら。 

 「いつもそうやって自分を謙遜してイイカッコするのよ」と

いつのまにか洗い物の終わった。あゆみちゃんが座っていた。

 浩子さんがあゆみちゃんに

「私、これからお風呂に人って、

寝ますからパパがあんまり飲まないように見張ってよ」

「大丈夫しっかり見張っているから」そうして浩子さんは風呂場へ~。


僕は三人で明け方までお話をしたんだ~。

 どこにいたのかさっきの赤茶毛描が顔を出し、


ニャン吉

  画像提供ちび猫さん

ニャーンと鳴いた。 

「おうニャン吉こっちへおいで」

ニヤン吉なる描はバッカスさんに抱かれた。


あゆみちゃんが猫を撫でながら

「この猫、パパがよく泊まる新宿のカプセルホテルの側でパパが拾って。

新幹線でこの団地まで連れてきたの」

 「なんか僕とダブッてな」 

「パパはお芝居の話なんだけどね。ママのマーガレット姫のペットだったの」


「エエ~!よくわっわかんない」 

「フランス革命前のヨーロッパの貴族の間では

小人症の障害者をペットにしたという記録があるの…

犬や猫と違って喋るし、ソソウもしないし、

そんなことで重宝されたんだって。そんな芝居での役だったのニャン吉な~」

とニャン吉を抱いた。


 「僕はマーガレット姫を癒(いや)した」

「今このニヤーン吉がパパを癒しているの……」

「慰めたり癒したりなんか自立した人間には必要がなく、そんなこと求めるのは弱い人間だけのような気がするけどそうじゃないんだな、

それほど人間なんて強くないのさ」---次に続く


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