二章 <初顔合わせ1>
僕とチカは七月の第二土曜日の日、
バッカスさんの家で、役者の初顔合わせを行なった。
野田のオッちゃんに案内されて美穂ちゃんも同行し、
台原駅前からバスに乗って仙台市の鶴ヶ谷団地というところへ向かった。 バッカスさんのお宅は市営団地で公設市場の近くで、
四階建ての鉄筋アパートの三階に住んでいた。
表札には『甲斐俊介(かいしゅんすけ)』と表示されて。
ドアには『鶴ヶ谷虹のかけ橋を創る会事務局』という看板が、
掲げられていた。
だいたい野田のオッちゃんからはバッカスさんの経歴を聞いていたので、それがどういうものかは、ピンときた・…
色白のきれいな女の人が出て来て「どうぞ」と中へ案内した。
野田のオッちゃんがいうにはバッカスさんの奥さんだそうだ。
僕はバッカスさんとのあまりの違いに驚いた。
バッカスさんは小人症 で百四十㎝ぐらいないのに---。
奥さんは百六五㎝ぐらいはあり、それにすごい美人だ。
歳は四十五くらいだそうだ。僕らはソファのある部屋に案内された。
畳の部屋らしくモスグリーンのカーペットが敷かれていた。
ソファには先客がいて…。赤茶毛の猫で。
お尻をあげ前足をのばして背伸びをして大きなアクビをし……
(なんだよオメラ)と言っているようにニャーンと鳴きどこかへ行った
僕らがソファに腰掛けると、
可愛い女の子が珈琲を運んできて。あいさつし
「いらしゃいませ甲斐あゆみと言います。現在二十歳の学生です」と
丁寧にあいさつした。きっと躾がいいのだろう。
バッカスさんは、まだ仙台に到着してないそうで。
バッカスさんは週末だけ帰る。
新幹線通勤をする役者さんなのだ。
東京ではビジネスホテルに泊まっているそうだ。
そうしているとデイパックを背負って。
ミッキーマウスの帽子をかぶった。
バッカスさんが現れチカがそれを見て思わずふきだし、ケタケタと笑った
「おう~この子がミーシャの子か、可愛いね」
そう言われ、チカはパタパタと右手をふった。
チカも意識しないで手が動く障害をもっている…。
僕みたいに激しく震えないが、たぶん本人はこのことに気がついてないかも~。
バッカスさんは、奥の部屋でジャージに着替えると再び顔を出した。
そのジャジーがたぶん娘さんのお下がり(親だからお上がりか)なのか
東仙台ちびっ子フィターズとロゴの人った。
オレンジのジャージで、膝にはキティちゃんのパッチが縫いつけてあった。
それを見てチカがケタケタと笑い、
右手をパタパタさせた。
「よく笑う子だね」とバッカスさんが…。
美穂ちゃんも笑って「私だって、さっきから笑いを堪えて言えてるんですよ」
と言った---明日に続く
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