<僕とチカの決意15>
俺は能力の可能性を信じたい。
ベートベンが耳がよく聞こえなくても作曲したように以外と知られていないが、
障害者で活躍した芸術家は以外といるんだ。耳の聞こえなかったゴヤ、
精神障害者のゴッ ホ、
ド近眼で視力障害の彫刻家のマイョールなど……。
役者で言語障害の奴がいてもおかしくないと思うんだ。
役者にとってキチンとした言葉はもっとも大切なものだが、
でも感動を与えるのは言葉だけじゃネェと思うんだ。
体だってギコチナイ動きしかできないと思うけッド。
俺もハッキリしたイメージはないんだけど
それはチカやレッツと一緒になって稽古し創り出そうよ」
美穂ちゃんが野田さんの独走を制し…。
「お父さんチカちゃんにも意見を聞こうよ、さっきのワープロで文字入力の方法で」 …それで野田さんは、
「仁美ちゃんのアイデアはグッドだったな」…と
「チカ自分の考えていることを打ってみろや」と私を急かした。
私はまたなかなか言葉が浮かんで来なかった……。
『ウ~ンなかなか言葉が浮かんでこない---でもなんとなくイメージがわかったよ!アリガトウ…。わたし普段しゃべってないので、
すぐに言葉が浮かぱないんだよね。
わたしの頭の中にある声は小学生のマンマなんだよね・…
本もあまり読まないからテレビなんかで覚えた言葉なんだ。
たぶん文法はメチャクチャだと思う・…』
美佐子さんが、「そんなことないわ、素直で可愛い文章よ」と
ミコが「Go君もやるんだよチャンスだよ!チカちゃん!」
野田さんが知ってるくせに「何!チカ~!レッツGoが好ぎなのか!」と…
美穂ちゃんが「そんなことに惑わされないでね」と~
もう私はみんなから言われて頭は混乱して…
『なんかよくわからないけど元プロの野田さんが考えて
わたしを選んだから、
わたしはまな板のコイです。どうぞわたしを料理してください---』
パチパチパチと みんなから拍手をもらった。
野田さんが「よく決心をしてくれてありがとう。
一緒にこの芝居を創り上げようね」~と---。
---私の左手と野田さんの右手で固い握手をしたんだ。
「美穂がチカをサポートするからなんでも相談してくれ」
「チカちゃん困ったことがあったらなんでも相談してね」
こうして私は十九になったばかりの初夏にスタートしたんだ。
南の窓ガラスに夕日が反射したカーテンが
初夏の涼風にゆれていた。
---決意<完>
『いのちのバトン』 (ムコ多糖症について)

