<僕とチカの決意11>
「私は親よりも保母さんの思い出が強いの~。
子供の時から院内保育 だし、小学生になってからも学童保育 で過ごして」と
ポツリと美穂ちゃんが語り。
野田さんがズズッて鼻水を啜り
「そんな家庭に嫌気のさした俺は、十違いの劇団の女優との不倫に溺れた」 美佐子さんが 「それであなたとの生活にみきりをつけたのよね」
「ヤカンに自分本意の人間と
舎監日誌に書かれたがある意味で当たっているんだ」と野田さんがボソッと語り。
「その後、私が中二の時、夜勤のあまりない
今の職場にお母さんが転職して仙台に引っ越したの」と美穂ちゃんがコトンとコップを置いた。
美佐子さんがハンカチで目頭を拭いて。
「私があなたの仙台にいる同級生からあなたが
脳出血で東京で入院したということを聞いてかけつけたの」
野田さんが、寂しそうな目で~。
「俺の離婚後の生活は酒浸りで荒んでいた。そんで血圧も高くなっていたんだろう」美佐子さんも鼻水を啜って
「麻庫した言語障害の言葉で『ドウモアリガトウミサコゴメンネ』って
誤ってくれたのね」………。
野田さんが目頭を拭い……、「それでリハビリは仙台の病院に移って」
「お母さんがまた一緒に暮らそうって言ったんだけど
私、嫌って言ったんだ」美穂ちゃんの目にも光るものがあった…。
「退院後、実家で過ごし職業訓練のために仙台の寮に入り美佐子から芝居の演出やらネェがって言われて」と野田さんが口ごもって言い
「そうよ今あなたが娘に誇れるものは創造する力しかないのよって」と美佐子さんが野田さんに語りかけるように言った…。
美穂ちゃんが
「お母さんの施設の筋ジスの藤原さんという方、
宮沢賢治を尊敬してて、
賢治の『世界中が幸福ならなければ、ほんとうの幸福はありえない』と
いう言葉を座右の銘にしているのね、
私、福祉を勉強してるだけど、
一人一人が幸福になるようみんなで手助けをするこれが福祉の原点なの。
私の家族が幸福にならずに、なんで人のことを面倒みられるのって…。」
------ミコが突然泣きじゃくり------次に続く
『いのちのバトン』 (ムコ多糖症について)
