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<育美ちゃん9>


野田のオッちゃんが鯉コクを箸でつまんで口に運びながら

「オイ、順序よく説明しないとわかねぇべ」

美佐子さんが微笑んで「これじゃ唐突ね」

育美ちゃんがテーブルに手をかけてたちあがり

みんなと同じ目線になって「だいたいはお母さんから聞いてるけど---」

「あら?育美ちゃん立てるんだ!」

「時々、こうやってストレッチしないと辱傷 (ジョクソウ)になるので」

三品さんが目を細めて「育美ちゃんはクラッチ で歩く練習をしてたもんね」

お婆ちゃんがカウンターに寄りかかって

「この間なんか薬科大の学生さんと大学の構内を歩き回って来たって大汗かいてねまんず---婆ちゃんビール飲ませてなんていうですよ」ハッハハとキセルたばこをくゆらせた 育美ちゃんが美穂ちゃんの右腕にすがって「もう立ってるの限界、歩くよりただ立ってるのが辛いのね」美穂ちゃんが車椅子を引き座らせて、

「育美ちゃん、このお芝居が成功したら私たち、正式に家族になろうって決めてるの!」

「エ?どういうこと?」

「私たち夫婦離婚してたのをまた家族の助走をはじめたのよね、このプロジェクトが成功したら籍入れようって」と美佐子さんが説明した。

「まんずそうやって俺を演出に担ぎ出されたんだ」

美佐子さんが野田のオッちゃんのビールを飲み干して

「何!カッコイイこと言って」

「あのーそいづ俺の俺のー」

「この底なし!あんだの体考えて飲んでやったんだべ文句あっか!」

「ハイ、すいません事務局長!」この居酒屋会議も大笑いになった。

育美ちゃんも事務局の手伝いすることになり

野田のオッちゃんも6月頃、寮を出て行った。

その後、僕、チカが役者として加わりこの「幸福村のジーザズ」のプロジェクト公演はスタートした。---次に続く

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