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<育美ちゃん6>


 保科先生は一口ビールをごくりと飲みこむと、

「高瀬先生が今日、私の所に辞表を持ってきたんだけど、まだ保留にしてるんだけど」

阿相先生が「育美ちゃんのことですか」と聞いた

「もう指導することに自信がなくなったし---自分が思い上がっていたんです。というより、障害者一人一人機能が違うし、一律な指導なんて不可能だと思います。」

って彼女言うの

「うーん」ってみんな考え込んでしまった。


この問題はみんな日々経験してることで

友紀先生がたれ下がった前髪をあげて

「そうねいつもそのことは思い悩むわ」

小松市子先生が串からレバーをすーと抜いて

「私の科は中途障害者の中高年が多いのね、注意すると毎日、毎日彼らに開き直られているわ、私、か弱い女なのよ~グッスン」

「どこが!」と阿相先生がグィっとビールを飲んだ

そして「たしかに企業では通用する子ばかりではないわね、でも私たちの教えた技術っていうより作業方法で作業所 で懸命に頑張ってる子もいるわ」


「それであっ子先生~」

「わかってるわ保科先生、タカちゃんをサポートしてということね」

「さすが一つのことで十知るあッ子先生」とおだてた。

結局、育美ちゃんは学校を夏休み前に辞めてしまった。

育美ちゃんは頑張るって。言ったんだけど。鬱病気味で拒食症と診断されお母さんが心配して辞めさせたんだ。

 そしてお母さんとお父さんは別居し---。育美ちゃんはその後お母さんと一緒に

お婆ちゃんの住む仙台に移り住んだ。

------お父さんと妹は岩手県にと別れ別れに---。次に続く

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