みなさまへ(転載歓迎)

10日締め切りの新規制基準のパブコメについて、原子力規制を監視する市民の
会としてのパブコメ(案)を作成しました。パブコメ提出の参考にしてくださ
い。また誤認があればご指摘ください。よろしくお願いいたします。

原子力規制を監視する市民の会
http://kiseikanshishimin.jimdo.com/

阪上 武

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2013年5月7日
原子力規制委員会御中
「発電用軽水型施設に係る新規制基準案」に対する意見(案)
原子力規制を監視する市民の会

□新規制基準の適用について

◆5年猶予をやめてください
要旨:特定安全施設等について5年の猶予期間を設けることはやめてください。
意見/理由:新規制基準が設置を求める安全設備について、5年の猶予を認める
のは、電力会社に対する原発再稼働についての便宜供与に他なりません。規制当
局が行うことではありません。

◆大飯原発の特別扱いをやめてください
要旨:大飯原発3・4号機を特別扱いし、運転継続を認めることはやめてください。
意見/理由:破砕帯調査中で結論がでていないのになぜ「現状評価」ができるの
でしょうか。免震事務等もなく、防潮堤の工事が終わっていません。活断層の3
連動評価により、耐震安全性の評価は一からやり直しとなります。
 現状評価を行っても、新規制基準が施行された後の運転継続は、法的根拠が失
われます。現状評価などやめて、大飯原発を直ちに止めるべきです。

□福島原発事故の収束が先

◆福島原発事故の収束を優先すべきです
要旨:福島原発事故の収束に全力をあげてください。
意見/理由:汚染水の問題、4号機のプールの冷却の問題など、福島原発の事故
収束作業は深刻な問題を抱えています。新規制基準の検討により、原発の再稼働
準備を進めている場合ではありません。原子力規制委員会・規制庁のすべての力
を福島原発の事故収束作業にあててください。

□地震や津波による複数の重大事故の同時進行を考慮すべき

◆複数の重大事故が進行する事故シーケンスを考慮すべきです
要旨:「共通要因」による多重事故に対応するため、地震や津波が基準を超えた
場合に複数の事故が進行する可能性について検討させるべきです。
意見/理由:新規制基準において想定を超える重大事故の事故シーケンスは、内
部事象による単独事故のシーケンスがあるだけで、地震により配管が破断し、冷
却水喪失事故が進行する中で、津波により全電源喪失事故が重なるなど、地震や
津波により複数の事故が進行するシーケンスはありません。これでは福島原発事
故を教訓にしたとはいえません。
 従来の設計基準では「単一故障の仮定」だけでよく、今回の新基準でも設計基
準についてはそれが踏襲されています。単一故障の仮定だけでは不十分であり、
地震や津波などの「共通原因」による多重事故について考慮しなければならない
というのが、福島原発事故の教訓です。
 新規制基準には、「多様性」「独立性」の定義に「共通要因又は従属要因に
よってその機能が阻害されないことをいう」とあり、「多様性」「独立性」が確
保さえされていれば「共通要因」に対応できるかのようにも読めますが、必ずし
もそうではありません。地震や津波が基準を超えた場合に、重大事故に至るの
か、また複数の重大事故が同時に進行した場合でも対応が可能なのか、事故シー
ケンスで考慮すべきです。
 ところが、新規制基準では、重大事故の事故シーケンスについては内部事象に
よるものだけが考慮され、冷却材喪失事故や全電源喪失事故は単独でしか発生せ
ず、複数の事故が進行するシーケンスは、確率が低いという理由で考えなくても
よいとされています。基準地震や基準津波が超えた場合の事故シーケンスについ
ては、新規制基準では求めず、7月以後に電力の自主的な対応を求めるというこ
とですが、それでは不十分であり、「共通要因」に対する対応を確認することは
できません。
 地震や津波が想定を超えた場合、航空機落下があった場合などの外部事象につ
いても、事故シーケンスで考慮すること、その場合に複数の事故が同時に進行す
る場合の対応についても検討させ、「共通要因」による多重事故にも備える必要
があります。

□福島原発事故の検証が先

◆福島第一原発事故の検証が先です
要旨:福島第一原発事故の検証が先です。地震による影響について検討してくだ
さい。そのうえで基準の検討を始めてください。
意見/理由:国会事故調査委員会等により、地震による影響により、津波が来る
前に、非常用復水器の配管が破損していた可能性が指摘されています。この問題
で、国会事故調査委員会が調査に入ろうとしたところ、東電が真っ暗で調査がで
きないとうそをついていたことが明らかになっています。「骨子案へのご意見に
ついて」(20回会合資料2-1)の「考え方」には、「東京電力福島第一原子力発
電所の事故について解明できていない部分があるのは事実ですが、政府、国会等
の事故調査委員会による報告書において明らかになっている事実を踏まえ、少な
くとも今回のような事故を防止するための基準を策定することは可能と考えてい
ます」とありますが、もし、地震による配管破損が事実であれば、耐震基準は根
本からの見直しが迫られます。再調査を行うべきですし、これの検証なしに基準
をつくっても意味がありません。
 また、溶融燃料がどこからどのように圧力容器の外に出たのか、わかっていま
せん。格納容器のどこがどのように破損したのか。どのようにして放射能が大量
に出たのかもわかっていません。こうしたものの解明なしに、シビアアクシデン
ト対策など立てようがありません。福島第一原発事故の全容解明を優先すべきです。

□水位計と逃し安全弁の欠陥

◆原子炉水位計や逃し安全弁の技術開発を先送りにしないで
要旨:原子炉水位計や逃し安全弁の技術開発を先送りにしないでください。
意見/理由:原子炉の水位が測れなかった、逃し安全弁による減圧ができなかっ
たことが、福島原発事故の大きな教訓です。沸騰水型原子炉の原子炉水位計の信
頼性については事故前から問題になっていました。これの技術開発を先送りにす
るなど許されません。

□格納容器の設計の見直しを

◆格納容器の設計上の欠陥に対応してください
要旨:格納容器の設計上の欠陥について検討し、設計変更を要求してください。
意見/理由:沸騰水型原子炉の格納容器は、ドライウェルの容量が小さすぎる、
圧力抑制プールの容量が小さすぎるといった設計上、構造上の欠陥が、事故前か
ら指摘されていました。福島第一原発事故は、こうした格納容器の欠陥が露呈し
たものです。検討チームが、設計基準は原則変えないという方針で検討している
ことは大変疑問です。放射能放出と住民の被ばくを伴う「ベント」に頼らないた
めにも、格納容器の設計変更を要求すべきです。

□被ばく線量の規制について

◆立地審査指針を見直した上で住民の被ばく線量について規制をかけてください
要旨:立地審査指針を見直した上でとりこみ、重大事故時の住民の被ばく線量に
ついてについてヨウ素や希ガスについても考慮し、規制をかけてください。
意見/理由:新規制基準では、立地審査指針にあった周辺住民の被ばく線量評価
についてはとりこまず、放出放射能の総量で規制するとしています。安全目標値
として、100万炉年につきセシウム137で100テラベクレルという値が示されてい
ます。しかし、この値は今回の規制案には記載がありません。また、この値はセ
シウム137だけであり、立地審査指針にあった放射性希ガスや放射性ヨウ素は含
んでいません。
 住民の被ばく線量の規制を、放出総量の規制でおきかえることはできません。
立地審査指針を見直した上で、敷地境界や周辺地域の住民の被ばく線量及び集団
被ばく線量についても規制をかけ、その場合に、セシウムだけでなく、放射性希
ガスや放射性ヨウ素も考慮すべきです。また、100テラベクレルの安全目標値に
ついては、放射性希ガスや放射性ヨウ素も含めて、住民にどの程度の被ばくを強
いるものなのか、明らかにした上でパブリック・コメントにかけるべきです。

□重大事故対策について

◆「ベント」に期待した対策はやめてください
要旨:放射能の放出を前提とした「ベント」に期待する対策はやめてください。
意見/理由:「ベント」は、本来穴があってはならない格納容器にわざわざ穴を
あけ、圧力や熱や水素を逃がすだけでなく、放射能も出てしまいます。フィルタ
を付けて千分の一にしたところで、シビアアクシデント時には大量の放出は避け
られません。「管理放出」などと言っていますが、周辺住民に被ばくを強要する
ことにはかわりありません。また、ベントの信頼性にもフィルタの信頼性にも疑
問があります。フィルタに十分な容量がなく、破損すれば放射能が素通りとなっ
てしまいます。フィルタ付きベントについては、設置を義務づける一方で、格納
容器の設計を見直すなど、これに期待しないシビアアクシデント対策を要求して
下さい。

◆特定安全施設は地震・津波対策も目的としてください
要旨:特定安全施設は、地震・津波対策も目的とし、それにふさわしい対応を求
めてください。
意見/理由:特定安全施設は、原子炉の安全装置が機能しない場合でも最低限の
冷却を可能とする最後の砦とされています。当初は地震・津波対策として検討が
はじまったのに、最後は、航空機テロ対策ということになり、肝心の地震・津波
への対応は、目的から外されました。事故時にすぐに必要となる高圧注水系はな
く、耐震も本体並みです。原子炉本体から100メートル以上離すことにより、配
管が長くなり、地震・津波時には役に立たないおそれがあります。地震や津波に
備えたものにはなっていません。特定安全施設については、地震・津波への対応
を目的に加えて下さい。

◆可搬式代替設備による対応は進展が早い事故に間に合うのか
要旨:可搬式代替設備による対応では不十分です。
意見/理由:電力会社のヒアリングにおいて、中部電力が、可搬式冷却装置は接
続に10時間はかかると述べています。事故の進展が早い場合には間に合わない可
能性があります。

□地震・津波基準について

◆「活動が否定できなければ活断層とみなす」の原則を40万年前に遡って適用を
要旨:「活動が否定できなければ活断層とみなす」の原則を40万年前以降まで
遡って適用してください。
意見/理由:骨子案では、「設計上考慮する活断層は、後期更新世以降(約
12~13万年前以降)の活動が否定できないものとし、明確に判断できない場合
は、中期更新世以降(約40万年前以降)まで遡って活動性を評価」となっていま
すが、安全設計審査指針の「活動が否定できなければ活断層とみなす」との原則
を徹底すべきです。「設計上考慮する活断層は、中期更新世以降(約40万年前以
降)の活動が否定できないものとする」と変更してください。

◆活断層等がある敷地に原子炉施設は建ててはなりません
要旨:「活断層等がある敷地に原子炉施設は建ててはならない」とすべきです。
意見/理由:骨子案では「重要な安全機能を有する施設は、将来活動性のある断
層等の露頭が無い地盤に設置」とありますが、AクラスやBクラスでも安全に関
わる構築物があり、また、間接的にSクラス施設が影響を受ける場合がありえま
す。Sクラスでない構築物を含め、「活断層等がある敷地に原子炉施設は建てて
はいけない」とすべきです。

◆断層はつなげて評価してください
要旨:5kmルールにとらわれずに断層はつなげて評価するのを原則としてください。
意見/理由:福島原発事故を引き起こした地震でも、5km以上離れているとされ
ていた断層が連動した事実が確認されました。断層が複数ある場合は、5km以上
離れた場合でも、つなげて評価するのを原則にしてください。

□新規制基準の検討のやり方とパブリック・コメントの取扱いについて

◆検討が不十分です
要旨:検討が不十分です。まだ基準を決める状況にはありません。
意見/理由:それぞれの項目について議論が煮詰まっておらず、検討チーム内で
も意見がまったくまとまらないうちに議事を進めています。「骨子案へのご意見
について」(20回会合資料2-1)の「考え方」には、「7月18日までに基準を定め
た規則を施行しなければなりません」「のべ13回にわたる議論を重ねて検討して
きた」などとありますが、スケジュールに縛られて、安全上でも、国民の理解と
いう点でも不備のある基準をつくってもしかたありません。骨子案に対するパブ
リック・コメントの不十分です。「本来5年はかかる」(更田委員)のであれ
ば、それだけしっかりと時間をかけて検討してください。

◆説明会を実施してください
要旨:住民や一般市民を対象にした説明会を実施してください。
意見/理由:新規制基準は、立地地域の住民に限らず、広く一般市民の命に関わ
る重大事です。しかしこの検討状況や骨子案について、住民や一般市民の理解は
十分とは言えず、存在を知らない人が大多数です。新規制基準案についても、パ
ブリック・コメントにかかっていることを知らない人がほとんどです。また、
知っている場合でも、約3,400ページに及ぶ対象文書のどこをどう検討していい
のかわからない人が多くいます。一旦検討を止め、検討状況について一般市民、
住民、被災者に対する説明会を実施してください。

◆検討チームの人選をやり直してください
要旨:検討チームから利益相反が問題になっている有識者や現役の原子力関係者
を外してください。
意見/理由:新安全基準の検討チームには、利益相反が問題になっている山口彰
氏や山本章夫氏や規制対象になっている日本原子力研究開発機構の現役の職員で
ある渡邉憲夫氏がおり、発言の多くを占め、特定安全施設の目的や耐震性、シビ
アアクシデントで想定すべき事故の範囲等で、電力会社に有利な発言を繰り返し
ています。電力中央研究所から研究費が流れ、利益相反が問題になっている谷和
夫氏は、地震・津波の検討チームで電力会社に有利な発言を繰り返しています。
また、そうした人たちから、「そのような対策は(電力会社は)対応可能か?」
という問いかけが頻発することにも疑問があります。山口氏などは、「もん
じゅ」の推進に関わる委員会の委員や電気協会の分科会の会長も務めています。
 「骨子案へのご意見について」(20回会合資料2-1)の「考え方」には、「有
識者については、原子力規制委員会が定めたルールに基づき情報公開等の対応を
行うなど透明性を確保しています」とありますが、電力会社に有利な発言が多く
を占めていることを問題にしているのです。このような人たちを検討チームから
外し、ストレステスト意見聴取会の委員であった井野博満氏、後藤政志氏、国会
事故調査委員会の委員であった田中三彦氏など、原子力から独立した立場で発言
できる専門家と交代してください。

◆住民や被災者からのヒアリングを実施してください
要旨:電力会社ばかりでなく、住民や被災者、原子力から独立した専門家からの
ヒアリングを実施してください。
意見/理由:新規制基準は、立地地域の住民に限らず、広く一般市民の命に関わ
る重大事です。検討のあり方については、福島第一原発事故の当事者である被災
者からも意見を聞くべきです。電力会社からのヒアリングだけでなく、立地地域
の住民や被災者の代表からもヒアリングを行うべきです。パブリック・コメント
の実施だけでは不十分です。さらに原子力から独立した立場でコメントができる
専門家からのヒアリングも実施してください。

◆パブリック・コメントをしっかりと検討し反映してください
要旨:パブリック・コメントを、時間をかけて検討し、反映してください
意見/理由:骨子案のパブリック・コメントの検討は、地震・津波検討チームで
は1回だけ、新規制基準検討チームでは3回行われましたが、検討時間は短く、
しかも検討した意見は、原子力規制庁が対応すると判断した意見だけでした。結
果的に寄せられたパブリック・コメントの多くは、検討すらされず、回答にも
なっていない「考え方」が示されただけでした。パブリック・コメントは、時間
をかけて検討してください。反映しない意見については特に慎重な検討を行い、
極力反映するようにしてください。

以上

原子力規制を監視する市民の会/問合せ 090-8116-7155阪上まで