<資生堂>“TSUBAKI戦略”が映す時代
シャンプー人気に変動が起きた。
長年シェアトップを守ってきた「ラックス・スーパーリッチ」
(ユニリーバ・ジャパン)を今春、資生堂の「TSUBAKI」が
逆転した。人気が定着するかはこれからだが、
“TSUBAKI戦略”には今という時代が透けて見える。
髪をなびかせる上原多香子、竹内結子、田中麗奈、
仲間由紀恵、広末涼子、観月ありさ・・・TSUBAKIの
CMには、人気女優が6人も登場する。音楽はSMAPの
新曲「Dear WOMAN」。宣伝費に年間約50億円を
かけるという豪華さもさることながら、この6人」が意味深い。
6人が包む多様性…荒川さん、ツィイーさん活躍
竹内さんには「たおやかさ」、観月さんには
「ポジティブさ」など、一人一人に異なる女性像を
当てはめている。同社広報部の土屋雅代さんは
その狙いを「1人でも多くの女性に共感を得てもらうため」
と話す。
根底には同社の「メガブランド構想」がある。
多くのメーカーはこれまで、消費者のし好の多様化に
合わせて商品のラインアップを増やす方向にあった。
が、同社は昨年から方向を転換。強力なブランドを育成し、
集約へと向かっているのだ。土屋さんは「今の女性は
結婚・出産も自由。仕事の選択肢も増え、趣味の世界も
広がった。ライフスタイルの多様性に対応するには、
イメージを広げる必要がある」と話す。
“複数キャラ”は他業種のCMも取り入れている。
早かったのは江崎グリコ。ポッキーチョコレートの
04年秋のCMに石原さとみ、柴咲コウ、仲間由紀恵、
松浦亜弥の4人が登場。ロッテは今年「母の日に
ガーナミルクチョコレートを」のキャンペーンで、
上戸彩、長澤まさみ、堀北真希の3人を起用した。
通常、女性タレントの出るCMは男性人気が高いが、
5月上旬のCM好感度調査(CM総合研究所調べ)で、
ガーナは男性59位、女性14位と異例の結果。
「女性向けには複数キャラ」の傾向を示している。
これについてCM総研の関根建男代表は
「情報量が増え、移ろいやすくなっている消費者の
好みの変化に対応する『積極的な保険』と言える」と分析。
また「不況の時は、大勢で豪華に登場するとしらじらしくなる。
好景気に入り、消費者も企業も気分が盛り上がっている
証拠」と話す。
一方、TSUBAKIヒットに「日本美」評価の流れを
見る向きもある。中国人女優のチャン・ツィイーや
コン・リーがハリウッドで活躍し、トリノ五輪では
フィギュアスケートの荒川静香さんが「クールビューティー」
と評された。駒沢女子大の石田かおり助教授
(化粧文化学)は「東アジアの女性の美しさが
『国際的な美の基準の一つになっている』と、
自信が醸成されつつある中、荒川さんがたたえられた。
そこに『日本の女性は、美しい』とうたったコピーが
響いた」とみる。
「アジエンス」の花王も「日本人が、内に秘めた
強さを持つ東洋の美に自信を持ち始めたからではないか。
黒髪ブームにもつながるが、荒川さんに見るような
日本的な美が受け入れられる傾向にある」と話す。