芽吹き出した新緑の季節、
私たちはどの芽も背丈を競い、空を目指して伸びていった。
若さという光に満ち、
ただまっすぐに、未来だけを見つめていた。

やがて成長も止まり、花をつけ、果実が実りはじめた。
中には花だけで実をつけぬ者もいたが、
その花は花としての価値を失わず、
見る者の心を華やかにした。
どの枝にも、それぞれの美しさがあった。

果実が実った者もあれば、
そうでない者もいた。
実った果実は幹を離れ、
それぞれの地へと転がり、
やがて新たな芽を生みはじめている。

一方で、幹である私たちは、
ひとつの役目を終えつつあるのかも。
今はただ、土の乾きを防ぎ、
小さき益虫たちの暮らしを支えるのみ。
それでも、それが静かな務めであるように思う。

葉の色は緑から黄へと移り変わり、
季節はゆるやかに秋へ向かう。
西陽が差し込むたび、
私たちの内にもまた、
静かな“枯れ始め”の気配が満ちてゆく。

いずれ、黄色く色づいた葉も、
やがて茶色へと移ろい、静かに役目を終えていく。
枯れ果てる運命は誰にでも訪れるが、
その先に続く道はひとつではない。

ある葉は土に還り、次の季節を育む肥となり、
ある葉は人の手により、
小さなオブジェのように姿を変えることもあるだろう。
どのような形であれ、
私たちは皆、これから先の土台の一部となっていく。

それは決して寂しさだけではなく、
静かに受け継がれていく“循環”の中に
そっと身を置くような感覚でもある。
枯れ始めた葉が西陽に照らされるように、
私たちの人生もまた、
柔らかな光の中で次の季節へとつながってゆく。