ドラマとしてとてもよく出来ている作品だった。

映画としてももちろん面白かった。

大人の勝手(感情)に振り回される主人公の井上真央ちゃんが可哀想でならない作品。

まず、実の母親に乳児の時に家に置いてきぼりにされるコト自体ありえない。

そもそもそこがいかん。

そして戸締まりをしていないところも。

とは言え、勝手に人ん家に入って、赤ちゃん誘拐するなんてのはもってのほかだ。

浮気してその相手(永作博美さん)に堕胎させるなんてのはもう論外だ。




と、まぁ、こんなもんの前置きをしたぐらいのところであとはひとつのドラマとして
感情移入して観た感想を書いていきたいと思う。





映画は裁判しているシーンから始まる。

主人公(井上真央ちゃん)が3歳の時、
実の母親と対面したシーンでおしっこを漏らしてしまうのが印象的だった。

実の母親からは恵理菜(本名)ちゃんと呼ばれるが、
当の本人はずっと希和子(永作博美さん)が母親だと思っており、
ずっと薫と呼ばれて育って来ていたのだ。

薫からしてみれば突然見ず知らずの人が自分の目の前に表れて、
しかも自分のことを恵理菜ちゃんと呼ぶ。

3歳の子には何が起きているのか理解が出来ないだろう。

そんなコトは家に帰っても当然続く。

夜、ベッドで眠りに就く時、母親に恵理菜はお星様の歌を歌ってと頼む。

でも、ここで母親が歌ったお星様の歌は薫の知ってるお星様の歌ではなかった。

母親はヒステリーを起こしてしまう。

それを必死で父親は止める。

恵理菜であろうとする薫は必死で母親に謝る。

物凄く観ていてツライシーンだった。



エンジェルホームにいる時も四国にいる時も希和子と薫はとても幸せそうだった。

2人でいられるコト、ただそれだけでよかったのだ。

薫は希和子の子供ではない。

でも希和子は本当の自分の子供のように愛していた。

希和子が薫の母親なんだなと感じた一番のシーンは2人が警察の手によって引き離される時だった。





「その子は・・・その子はまだご飯を食べていません・・・宜しくお願いします・・・」





希和子がそう、警察に叫ぶシーンは母親のソレでしかないと思った。





大学生になった薫が千草と一緒にエンジェルホーム、四国を訪れて
3歳になるまでの記憶を少しずつ思い出していき、自分が希和子に確かに愛されていたんだと
いうコトに気付いたことに希望の光が見えたような気がして良かった。

自分のお腹にいる赤ちゃんをどんな風に愛していけばいいのか明かりが見えたのだと思う。

とても良い終わらせ方だった。





井上真央ちゃんの新しい表情を見るコトの出来た作品でしたね。

どこか切なげで、ぶっきらぼうな感じで。

もうひとつ、重要なこと!!

演技にケチつける気はないけどムカついたのは劇団ひとり!!

井上真央ちゃんと何回もキスしまくりやがって!!

イラッときた!!

劇団ひとりじゃないといけないキャスティングでもないでしょ!?

あれだけは何とかして欲しかった。

それ以外はとにかく本当にドラマとしてよく出来ている作品だと思いました。





子供を愛するが故にヒステリックになってしまったり、
誘拐をしてまったり、逃亡をはかったり・・・・・

わかるなぁ、どの気持ちも。

ドリーが絡んだらどれも全然有り得る。

人を愛するってコトは、
ましてや自分の子供を愛するなんてコトは、
実際問題、結構ギリギリのコトだったりするんじゃないだろうかなぁ。

愛情ってそういうもんだと思う。