よく使われる例えだがまさにその言葉通り眠るようにおばあちゃんは息を引き取った。

おじいちゃんはその瞬間が訪れるまでずっとおばあちゃんの右手を握りしめていた。

家族みんなに看取られて最後を迎えたおばあちゃんはある意味では幸せなことなんだと思う。

また反対におばあちゃんの最後をみんなで看取れたのも幸せなことなんだろう。

誰も泣かなかった。

病室でのおばあちゃんの最後の瞬間はだれも泣かなかった。

窓の外の木々の葉を揺らす風が冬の訪れを伝えていた。

そんなことに気が向いていた僕だけが見た幻だろうか?

風に乗って天高くおばあちゃんが浮かんでいくのが見えたような気がした。