「相手の男を連れて来い!!」
「出来ない。」
「何で出来ないんだ!!」
「・・・連絡がとれないから・・・」
絶対に泣かないと決めてたのに・・・
どこか甘い考えがあった。
父なら理解してくれるのではないか。
優しく受け止めてくれるのではないか。
そんなハズはなかった。
それがわかり、彼との連絡がとれない事実を口に出した瞬間、瞳の緊張は脆くも崩れ去った。
不倫の果ての妊娠。
こうなる日が来てもおかしくない重なりを続けた。
心の奥底ではこうなることを臨んでいた。
それがない限り、本気で私と向き合ってくれることはないと思っていたから。
しかし現実は真逆だった。
妊娠を告げたその日、彼は私を愛しそうに抱き・・・そう愛しそうなだけだった・・・
愛しいワケではなかった・・・
この子の一番の幸せをこれから考えていこうと、部屋を出る時に言い残し、
その後連絡はとれなくなった・・・
これまで生きて来て自分が甘い考えの人間だとは微塵も思いはしなかった。
一人っ子の私は箱入りで育てられた。
両親に褒められることが嬉しくてどんなことも努力を惜しまなかった。
自分は頑張っている人間だと思っていた。
堕落して覇気のない人間こそが甘い考えの持ち主だと信じて止まなかった。
しかしそれは違っていた。
免疫がなかったと言うと言い訳がましく聞こえてしまうだろうが、事実免疫がなかった。
社会に出て彼と出会い、私の方から溺れた。
彼は何ひとつ嘘をつかなかった。
今、冷静に考えてみると、嘘をつかないで済むような話題しかしなかっただけだ。
でもそんなことにも気付かなかった。
妻子ある身であることは初めからわかっていた。
先に溺れてしまった私が考える幸せの道は彼の子を設けることとなっていった。
毎日のように例え30分であろうと私に愛してると伝えに来てくれる彼を、
彼の言うことを鵜呑みにしてしまっていた。
二人の未来を話合うきっかけは二人の子供からだと正しくはない概念に傾倒していってしまった。
全ては、彼の言葉の全ては私を求めるだけの道具でしかなかったのだろう。
そんなことも見抜けないぐらいに溺れ、安易に子供まで設け、
挙げ句父なら全てを理解し、優しく受け止めてくれるのではないかと
どこまでも愚かで甘い考えの持ち主に私はなっていた。
「相手のことも大事、この子の父親なんだからね。でも連絡がとれない以上、結がどうしたいのか決めないといけないことよ。」
怒り・・・多分怒りに震え言葉も出ない父、自分自身の愚かさを痛い程感じて涙の止まらない私。
二人の沈黙を破り優しい口調で母が言った。
「・・・私は・・・生みたい・・・」
「っんなっ、何を言って・・・」
父が凄い剣幕で言いかけたところを母が強引に止めた。
「声を荒げないで!!結は・・・あなたの娘の結のお腹には赤ちゃんがいるの!!あなたが結と赤ちゃんに悲しい思いをさせてどうするの?」
どうにも自分を保つことがしんどくなったのだろうか。
出かけて来ると一言言い、父は部屋を出て行った。
「・・・お母さん・・・」
母の肩に頭を横たえ私はずっとずっと、お母さんと言い続けた・・・
母はその間ずっと私の体をさすってくれていた・・・
大丈夫、大丈夫と何度も言いながら・・・
「出来ない。」
「何で出来ないんだ!!」
「・・・連絡がとれないから・・・」
絶対に泣かないと決めてたのに・・・
どこか甘い考えがあった。
父なら理解してくれるのではないか。
優しく受け止めてくれるのではないか。
そんなハズはなかった。
それがわかり、彼との連絡がとれない事実を口に出した瞬間、瞳の緊張は脆くも崩れ去った。
不倫の果ての妊娠。
こうなる日が来てもおかしくない重なりを続けた。
心の奥底ではこうなることを臨んでいた。
それがない限り、本気で私と向き合ってくれることはないと思っていたから。
しかし現実は真逆だった。
妊娠を告げたその日、彼は私を愛しそうに抱き・・・そう愛しそうなだけだった・・・
愛しいワケではなかった・・・
この子の一番の幸せをこれから考えていこうと、部屋を出る時に言い残し、
その後連絡はとれなくなった・・・
これまで生きて来て自分が甘い考えの人間だとは微塵も思いはしなかった。
一人っ子の私は箱入りで育てられた。
両親に褒められることが嬉しくてどんなことも努力を惜しまなかった。
自分は頑張っている人間だと思っていた。
堕落して覇気のない人間こそが甘い考えの持ち主だと信じて止まなかった。
しかしそれは違っていた。
免疫がなかったと言うと言い訳がましく聞こえてしまうだろうが、事実免疫がなかった。
社会に出て彼と出会い、私の方から溺れた。
彼は何ひとつ嘘をつかなかった。
今、冷静に考えてみると、嘘をつかないで済むような話題しかしなかっただけだ。
でもそんなことにも気付かなかった。
妻子ある身であることは初めからわかっていた。
先に溺れてしまった私が考える幸せの道は彼の子を設けることとなっていった。
毎日のように例え30分であろうと私に愛してると伝えに来てくれる彼を、
彼の言うことを鵜呑みにしてしまっていた。
二人の未来を話合うきっかけは二人の子供からだと正しくはない概念に傾倒していってしまった。
全ては、彼の言葉の全ては私を求めるだけの道具でしかなかったのだろう。
そんなことも見抜けないぐらいに溺れ、安易に子供まで設け、
挙げ句父なら全てを理解し、優しく受け止めてくれるのではないかと
どこまでも愚かで甘い考えの持ち主に私はなっていた。
「相手のことも大事、この子の父親なんだからね。でも連絡がとれない以上、結がどうしたいのか決めないといけないことよ。」
怒り・・・多分怒りに震え言葉も出ない父、自分自身の愚かさを痛い程感じて涙の止まらない私。
二人の沈黙を破り優しい口調で母が言った。
「・・・私は・・・生みたい・・・」
「っんなっ、何を言って・・・」
父が凄い剣幕で言いかけたところを母が強引に止めた。
「声を荒げないで!!結は・・・あなたの娘の結のお腹には赤ちゃんがいるの!!あなたが結と赤ちゃんに悲しい思いをさせてどうするの?」
どうにも自分を保つことがしんどくなったのだろうか。
出かけて来ると一言言い、父は部屋を出て行った。
「・・・お母さん・・・」
母の肩に頭を横たえ私はずっとずっと、お母さんと言い続けた・・・
母はその間ずっと私の体をさすってくれていた・・・
大丈夫、大丈夫と何度も言いながら・・・