学長がわざわざ同席するぐらいだ。
やはり結構な権威あるコンクールなのだろう。
同じようなことばかり聞いて来る記者が鬱陶しい。
ずっとにやけてる学長も然り。

桜をテーマに描いた絵が最優秀賞を受賞してしまった。
ずっと迷っていた。
このテーマの作品を描くことを。
しかし、描いてみたい、描き上げてみたいという衝動にかられた事実があった。
人間、頭であれこれ整頓つけるよりも勝手に心が体を動かすものだ。
動き始める瞬間、頭の中で迷い、燻っていたものなんてとっくに消えている。
想いとは動くモノなのだ。
しかし、もう一方で想いとは動かないモノであるとも思う。
衝動にかられる想いは格好良く言えばアート。
迷いが出て留まる想いはハート。
僕の描いた絵が最優秀賞を受賞した理由を自分で分析するのなら、
アートとハートの境界などなく、完璧に同じスペースに共存することが出来たからではないだろうか。
この分析・・・と、言うよりは僕が僕の一部(一部と表現したが、ある意味では全てだろう)を
描いたこの事実、鬱陶しい記者に語るつもりなどない。
とは言え、所詮は美大の学生。
良く言えば、今後を期待しているから、
悪く言えばと言うよりは、実際そうなのだと思うが、
冷やかしでの質問がほとんどだ。
僕、『相沢勇気』と言う人間に何を言わそうかとからかっていやがる。
調子こいて、「芸術とは~なんだと思うんですよねえ。」なんて言えば、
『この糞ガキがぁ!!』って記事も書きやすい。
多くを語らないで会見を終了させようとしようものなら、
『いけすかないヤツだ!!』と、書くだろう。
知識だけで全身を覆った『感性麻痺』の人間、今日の場合は記者だが、
こういうヤツらは本当に面倒で鬱陶しい。
と、いう風にしか思えないぐらい、
僕にはこの場を上手にやり過ごせるような会話力のスキルは残念ながら持ち合わせていない。
だから、もうかれこれ30分ぐらいずっと困惑している。
辺に生真面目な僕は適当なことを発言することが日常出来ない。
・・・良く言い過ぎか・・・?
相手に不快な想いをさせることなく上手に本音を語らずにスルー出来るような、
気の利いた言葉なり、上手いこと会話のテーマを変えられるような言葉運びが出来ない。
・・・不器用・・・賢くない・・・アホ・・・そんなどれか・・・



『絵』というアートに言葉を求めるな!!

観たマンマに感じろ!!

感じ方は自由なんだから!!

敷かれたレールの上で知識のアウトプットなんかしてるんじゃねー!!

飛べ!!今すぐ!!

その場でいいから、自分だけの小宇宙を築け!!

ビッグバンを起こすのは自分自身だぞ!!

そこからしか何も生まれない・・・何も始まらない・・・



って、腹の底から大声で叫んで即終わらせたい・・・この会見を・・・