旅の記憶のこと | 想像で遊び創造で遊ぶ

旅の記憶のこと

突然、旅の記憶がフラッシュバックする時がある。


今夜がそれ。



太平洋の小さな島の、小さなゲストハウス。

何もせずとも、OKな雰囲気が最高のところ。


今日は何した?What did you do today?

何もしていない。I do nothing.

GOOOOD!

が、合言葉の素敵なところ。



夜は本当の闇。

その夜は月がなかった。

ただ、星だけがたくさんあって、南十字星を初めて見たよる。



同宿のスイス人のクリスが、

「夜に地元の演奏会があるから見に行こう」って言ったので、

闇夜に2人で会場へ向かった。

ぽつりぽつりと点在する家。

闇にまぎれて人影があり少し怖い。



会場は簡素な、体育館風の建物。

民族衣装を着飾った人々がたくさん地べたに座っている。

僕とクリスは、椅子を用意してもらい、そこに座った。

外国人は僕達2人だけ。



ステージに地元のブラスバンドが登場し、南国らしく明るいノリのいい曲を演奏する。

会場はだんだんとヒートアップして、

おばさんたちはもういてもたってもいられない、

そんな風な感じでおどりだした。


ぐるんぐるんと踊り、

民族衣装についている紐みたいなものをほどいて振り回す。

笑い声、嬌声、ステップの音、ブラスが奏でる音、喝采、

僕とクリスは、演奏よりも踊っている人々を呆然と眺める。


と、ばあさんが踊りながら近づいてきて、僕達の目の前で舌をだしたり、紐を振り回したりしながら挑発的に踊り狂う。アップビートな曲と、踊り狂う女達。

椅子にしばりつけられているかのように、黄色い人間と白い人間は、それをただ見ることしかできなかった。


帰り、島にただ一つある国際電話局によって行くよ、とクリスにいったら、

ひとりはいやだからついていくよ、と所在なげに言った。



昼間、僕はできる人間だし無限の可能性がある!と豪語していたクリスとは別人みたいだった。


ただそれだけのある闇夜の演奏会が、記憶によみがえってきた。

きっと昨日に見たバンドのライブで僕は楽しく踊ってしまったから。