死者が眠る場所のこと
お墓参りにいく。
お墓といっても、ここの土地では死人が僕の足の下で眠っている。
つまり、ちょっと前まで土葬だったからだ。
このお墓は石のお墓ではなく、
高さ80cmほど、太さ15cm角の木の杭に戒名が書いてあるだけの粗末なもの。
古いものになると腐って、高さが30cmほどまで低くなっている。
それぞれの家のお墓の区切りは河原の石を並べただけのそまつなもの。
たくさんの死人の上にしゃがんで、ご先祖さまのお墓の草むしり。
きれいな花が咲いている。
とても大きな桜の木はこれでもかといわんばかりに枝をのばす。
もうすぐ、夏だな。
日傘、寺の坊主の頭に光る汗、草と花と線香のにおい、お経、久しぶりにあういとこ、入道雲と青空と太陽。
お盆はいつもこんな感じ。
僕の下にはいったい何人の人が眠っているのだろう?
たくさんのいなくなった人がいて、
僕は土の上で呼吸する。
お墓参りグッズを入れた籐のかごを持って、帰りは自動販売機で冷たいマウンテン・デューを飲む。