アイルランドのこと
アイルランドはいつか行ってみたい国のひとつだ。
初めての海外旅行、一泊目、ドミトリーに泊まった。
南国らしく白と碧色で壁がペイントされ、天井では真っ白なファンがまわっている。
そこにはドイツ人とアイルランド人が泊まっていた。
3人でヒンドゥーのお寺を見に行く。
次の日、ドイツ人が旅立ち、
その次の日、アイルランド人が旅立っていった。
外出していた僕が宿に帰ると、ベッドの上にぽつんと食べかけのパンが置いてあった。
蒸し暑いドミトリーの、スプリングがやわらかすぎる2段ベッドの上で、ぐるぐるまわっているファンを見ながらパンを食べた。
別の日、またアイルランド人がやってきた。
ジェームスと名乗ったそいつは、赤ら顔で骨太な見るからにアイリッシュだ。
ドミトリーの外にでると、プールサイドでジェームスがオレンジジュースを飲みながらガイドブックを見ていた。
横に座って、どこに行くの?なんていう会話をしていると、
「お前も飲むか?」とオレンジジュースを勧めてきた。
その瞬間、こいつはいいやつだ!と単純な思考が働き、親近感が湧いた。
「俺は明日、カヌーツアーに出かけるんだ」と興奮気味に話す彼と一緒に連れ立って、
街をブラブラ。
どうしてもカレーが食べたい、と言い張るので二人でパキスタン人のやっている「インド」カレー屋に行った。
観光客向けのぼったくりカレー屋で味もイマイチ。
失敗した顔をしているジェームスに「おいしくないね」、
「うん、あんまりだ」。
次の日の夜、出かけていた僕が宿に帰ってくるとベッドの上に紙がある。
そこには、
「Best of luck on your travels!! James」
Good Luckではなくて、Best of luck。
とても素敵な言葉がノートの切れ端にはしり書きしてあった。
そのおかげかどうか知らないけれど、たくさんのBest of luckがあった。
だからいつかアイルランドに行きたい、と思っている。
- ディングルの入江 (集英社文庫)/藤原 新也
- ¥580
- Amazon.co.jp