天使の笑顔
日曜日には街のほとんどの人が教会に行き、
99パーセントお店が閉まるトンガで僕はひどい下痢になった。
日曜日、トンガの首都、ヌクアロファのゲストハウスのベッドで横になり天井を眺めていた。
備え付けの扇風機は僕が破壊してしまい、部屋の隅にころがっている。
熱気に耐えつつ、定期的にやってくるお腹の雷さまに刺激され、トイレに10分おきに駆け込む。
いくぶんお腹がマシになったので、
食べ物を探しにいく。
首都なのに静まりかえった街を夢遊病者のようにほっつきあるき、
ようやく一軒のパン屋さんを見つけた。
おいしそうなにおいがただよっている。
ミートパイをください、
というとお店の女の子が袋にアツアツのミートパイを入れてくれた。
が、熱すぎたミートパイはビニールの袋を溶かしてポテーンと床に転がった。
女の子はすまなさそうに笑って、落ちたミートパイを紙袋につつんで僕にわたしてくれた。
病身の僕は反論する元気もなく、ようやくありつけた食べ物にただ感謝した。
ゲストハウスへの帰り道、
祖母、母、娘とおぼしき3人が遠くから歩いてくる。
近くにきたとき、
僕と同じ歳ぐらいの娘がこっちにむかってニッコリと美しい笑顔で微笑んだ。
フラフラの僕にとって、その笑顔は天使が微笑んでいるのと同等の感じがした。
宿のベッドに横たわって、ミートパイをほおばりながら美しい笑顔を思い出す。
弱っているときは、ささいなことでも元気の源になるのだな、と思った。