浅倉卓弥の『君の名残を』です。




もう、これを紹介したかったんですよ、ずっと!!



君の名残を (上) (宝島社文庫 (487))
浅倉 卓弥
宝島社
売り上げランキング: 135903



内容(「BOOK」データベースより)
その日、彼らの時は歪んだ。目覚めるとそこは戦乱の前夜だった―。激動の平安末期を舞台に壮大なスケールで描く衝撃と慟哭の絵巻ここに登場。



























浅倉卓弥は、映画化されたデビュー作『四日間の奇蹟』で有名ですよね。

たぶん世間の人はそれぐらいしか知らないんだろうなぁと思います。

でも僕が浅倉卓弥の最高傑作だと思ってるのは今作『君の名残を』なんですよ!!!

ちなみに氏は札幌出身なので僕と同郷でした(wikiで知って興奮しました)。










僕がこれを初めて読んだのは高校生の頃なんでもう10年近く前だったと思います。なんか読みながら泣いてしまった覚えがあるんですが、それきりすっかり忘れていました(笑)。


なんでこれを最近思い出したのかと言うと、ズバリ時流に乗ったから、です。最近、本屋の店頭に並んでるんですよ!






そう、大河ドラマ『平清盛』効果!!!!


店頭で今作を見つけて興奮して、思わず再読してしまいました。

というわけで内容を紹介しますね。



今作はミステリというよりかはSFというほうが正しいかと思います。過去へのタイムスリップものです。







、高校の剣道部で活躍する友恵と武蔵と、友恵の親友の弟の志郎の3人がタイムスリップして源平合戦に巻き込まれます。



3人ともお互いがタイムスリップしてきていることを知らず、一人一人バラバラに、合戦の世をなんとか生き延びようとします。



他のタイムスリップ作品と違って特徴的なのはこのタイムスリップした3人が、「未来からきた部外者」として源平合戦に参加するのではなく、「本来いなくてはいけない主要人物」として合戦に参加しているところだと思います。



3人は歴史の授業で学んだ知識から、目の前の合戦がどのような結末を迎えるかも知っている中で、次第に、自分が誰の役割を演じなくてはいけないのかを理解し始めます。



友恵はある戦国武将と結婚し、武蔵もある武将に仕えることになります。各々が守るべきものを持ち、大事な人を守るために闘うことになります。



また、友恵と武蔵は剣道部なので、剣術が得意なんですね。源平合戦のころの技術よりも800年以上も洗練された技術を持ってタイムスリップしてくるのでこの2人が合戦に参加すると他の兵士たちの数倍の役割を果たすんです。



で、最終的には友恵と武蔵が、敵と味方に分かれて闘うハメになるんですよ。



もうここが号泣ポイントです。文庫本で言うと下巻の途中あたりです。


ラストは、どうしてくれるんじゃい(?)というような感情を連れてきてくれる結末が待ってます。なんかそういう話です。






高校生の頃は泣いたんですけどね。最近読み直したらギリギリ泣けませんでした。なんか他のことが色々気になってしまったんですよね。


具体的に言うと作者のあとがきを見る限り今作は司馬遼太郎の本などから影響を受けたらしいんですけど、とりあえず物語にどれだけ関係があるのかが分からない源氏・平氏の話が本当に長いんですよ。たぶん読みながら頭がこんがらがってくると思います。もう途中から誰と誰が兄弟なのかとか全然わからなくなります(笑)。



最後まで一生懸命読んでから、下巻の最後に家系図があるのを見つけたときはイラッとしました(笑)。地図や家系図は冒頭に掲示してほしいものです。



歴史ものとして読むと色々と浅いような記述に思えてしまうところが少々気になってしまいました。



歴史が好きで興味がある人ならじっくりと読めると思うんですが、そうでない人は結構しんどいと思うんですよね。







でもやっぱりその点を差し引いても、物語の配役が本当に巧妙だったんですよ。



よくその3人を現代からタイムスリップさせたなぁと思うほど、いい味を出してる3人なんですよ。



そんで、歴史を知っているがゆえに自分たちが最後どういう終末を迎えるかも知っているのでその運命を受け入れる過程も本当に良かったんです!



あぁ、なんでこれ映画化とかしなかったんだろう。映画化しやすそうですけどね。



で、今たぶん本屋に行くと店頭にこの文庫本が並んでると思います。平清盛のおかげです!!




なので一度読んでみてください。



僕はこういうの好きでした。






君の名残を (上) (宝島社文庫 (487))
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